第二十八話 バカなだけなのに

先日なんですが久しぶりに前の職場に野暮用で顔を出しまして、
ボクの27年間の人脈をたぐりよせても三本の指に入るであろう逸材と再会をしました。
彼はエグチくんと申しまして。
とにかくよく間違うんです、
それがまた残念な間違い方でして。
商品につけるポップを一生懸命作ってはったのでチラッと見たら、太字で、
『フロム、カナダから!』って書いてしまっていたり、
(フロムが「から」って意味やしねっ)
おもいっきり『¥980円』って書いてしまっていたり、
(これも『¥』が円って意味やしねっ)
飲み屋で鍛高譚(タンタカタン)を注文しようとして、
「すみません、この・・・キン・・タカ・・スゥ?ください」って言ってしまったり、
(『タカ』しか合うてないわっ、リズムは良かったんやけどねっ)
「奇数て3からやんな?」って聞いてきたり、
(1からやで、ほな1は何?ってゆうか何の質問やねん!)
お客さんにスラックスについて訪ねられたのに『シダックス』の場所教えてたり、
(カラオケやん、それ)
会社にお中元できたビール勝手に飲んで怒られたり、
(オレもなぜか怒られた、冤罪やっちゅうねん!)

もうキリがないんですけど、
その中でイチバン印象的な間違いがありまして。
何かキャンペーンの集計をエグチくん任されてまして、
「正」の字で集計しといてくれ言われてまして、
なんかイヤな予感したんで集計用紙を見たら、

生生生生生生生・・・・・

違う、違う、違う、違う、違う!
『せい』の字やけど!
画数も合うてるし集計できてるけど!
違う!
違うってゆうか怖い!
生きる!生きる!生きる!生きる!生きるっっ!!
なに?決意?
生きたらいいけどさ、
生きるべきだけどさっ、
なんかスゴい意志を感じる集計結果。
思想の漂う集計結果。
バカなだけなのに。

最後にエグチくん、
Tシャツが反対になってるで。