第467話 下等ゲーム 後編

破竹の勢いである。
加藤さんのバカは止まらない。
留まることを知らない。



なんで気がつかねえんだ、この人。
自分にしか興味がねえんだろう。
加藤さんが出退勤表に勤務時間を書き込むことを我々は『星がつく』と呼んでいた。
14時くらいになると誰からともなく声が聞こえてくる。
「今日も星つきますかねえ」
だいたい朝の段階でおおよその予測はつく。
「今日もつくんだろうな、星。今日もダメだもんな、この人」って。
どれだけ加藤さんがダメなのか、
わたしが加藤さんに発したいくつかの台詞で振り返ってみたいと思います。


「加藤さん、ビニール袋の厚みはメジャーでは測れないんです、そういう仕組みなんです。」



指定されたサイズのビニールを持ってきてくださいとお願いした時の一言です。
幅が30センチ縦が60センチ、そして厚みが0.06ミリのサイズの袋を持ってきてくださいとお願いしたんですが、
なぜか加藤さん一生懸命厚みを測ろうとしてるんです。
いやいや、オマエやっぱりすごいな。
幅と縦だけでエエねん、規格として伝票には厚みが記されてるかもしれへんけれども、そこはスルーすんねん、
どんな脳みそしてんねん、ホンマに、
オマエの頭にやな、別売りのシャンプー用ポンプを刺してやな、こうプッシュするやろ、
ほな、1プッシュで終わりや、オマエの脳みそは。
1プッシュで全部出てきてまうねん、デュルンって。
そんなもんシャンプーやったとしたら捨て時やぞ。


「加藤さんナメック星に行ってきて最長老様にアレしてもらってください」



(アレ)

商品の発送先の名前と住所を加藤さんにチェックしてもらっているときに発した一言です。
件の作業中加藤さんに「松井くん、ちょっといいですか」って呼ばれたんです。
なんかわからないことでもあったのかと思って「どないしたんですか?」って聞いたら、

「この名前見てください、おかんと同じです」

知らんわ!おまえのおかんの名前など知らん!そんなことでいちいち呼ぶな!
加藤さん・・・加藤さんはナメック星に行って最長老さまに会って潜在能力を引き出してもらってきてください、
加藤さん・・・世の中には「死ぬほど○○」って言う言い回しがあるんですけど、
「死ぬほど美味しい」とか「死ぬほど安い」とか。
実際美味しすぎて死んだ人いてないですし、安すぎて死んだ人もいてないんですけど、
加藤さん、あんた死ぬぞ、あんたは死ぬほどバカや、
だから加藤さん、ナメック星に行って最長老様に会って加藤さんの眠ってる潜在能力を引き出してもらいましょ、
もう眠ってない、全開でソレや、って言われたらドラゴンボール集めましょ、手伝いますんで。
あと、これは関係ない話なんですが、
ボクの友達の友達が何年か前に加藤さんにデート誘われて、
死ぬほど安い店に連れて行かれて死ぬほど割り勘されたって言うてました。



もう、止まらねえのでヒント与えてみた。


加藤さんのを残して、あと消してしまうっていう。
これは大ヒント。
いくら、加藤さんがバカだといえ、これで何かが起こっていることに気がつくだろう、
これで気がつかねえねんてことn・・・


木村くんの勝ち〜〜〜