第160話 一周忌

おばぁちゃんが亡くなって一年。
昨日はおばぁちゃんの一周忌ということでお姉ちゃんも長崎から帰ってき、
松井家全員でご飯を食べに行った。
遺影がセットされ、
おばぁちゃんが好きだったお酒が杯に注がれる。
おばぁちゃんの在りし日を想い、
みなそれぞれの想いを胸に抱き、
しめやかに、一周忌はスタートし・・・

「うわぁ、圭太郎くん、すごい上手な亀を作ってる!はし袋で!」

うん、圭太郎がね、
すごい上手な亀をね、
はし袋でね。

アホの夫婦、ちょっと静かにしてくれへん?

ちょっとだけでいいからね。
ほら今日は大事な日やからさ。
おばぁちゃんが死んで1年。
27年間、その小さな身体いっぱいで愛してくれたおばぁちゃん。
これからもおばぁちゃんのいない日々は何ごともなかったように続く。
でも常におばぁちゃんはボクらのことを・・・

「これな、亀ちゃうねん、ヒョウやねん」


(アホ)

はいっ、黙祷!

黙って、静かにして、はいっ、黙祷!
アホの夫婦、黙祷!
2時間半の黙祷に入って!
ほんで、これホンマにヒョウ?
どこからどう見ても亀やで。
あっ、答えなくていいです、そのまま黙祷を続けてください。

そして今日。
小雨の中、納骨の運びとなった。
おばぁちゃんの小さな骨がお墓の中へ。
ここで永い永い眠りにつく。
おじぃちゃんと一緒に永い永いねむ・・・

オトン、墓石に傘をかけんな!

一緒に納骨すんぞ!