第161話 よしき虫

ボクがたまにバイトしているバーのマスターよしきくん、通称よしき虫。

普段はとっても穏やかな彼が声を荒立てていた。
穏やかじゃない。
ボクはカウンターの中、お酒を作っていた。
お連れのお客さんとなにやらもめている。
心配なのでお酒を作る手を休め、
二人の会話に耳をかたむけてみた。

「いや、だから!お化けやで、塩で倒せるわけないやん!」


(ヒュ〜ドロドロ〜)

仕事を続けることにしよう。
お酒を作ろう。
お化けの話をしているマスターの事はほっておこう。

「ほな、松井くんに聞いてみよ、お化けを塩で倒したことある??」


う〜ん・・・
お化けを倒したことがないかな。