第202話 バンド名長いフェス余話

シャングリラ(というライブハウス)の現店長のキイくんとは、
キイくんがシャングリラの前の職場のレインドッグス(というライブハウス)で店長をする前、
平たく言うと町のゴロツキだった頃からの仲なので随分長くなる。
その頃からキイくんは面倒見が良く、
町(貧民街)の兄貴分だった。


(※イメージです)

今年の初めごろ、高木まひことシェキナベイベーズの高木くんとキイくんと三人で共同企画を立ち上げた。
それが先日の『バンド名長いフェス〜2012〜』だ。
基本的に高木くんとボクがバンドのブッキングをして、
キイくんには色々チケット関係などの大人の仕事をしてもらった。
そのキイくんが一つだけ、「どうしても呼びたい」と言ってきたソロプロジェクトがあった。
ドラびでお』である。

(いやいや、名前長くないやん!)
と一度は思ったが、ボクもドラびでおさんは大好きやし、
是非出ていただきたい、
それに、ボクたちには『ザ・たこさん』を呼んだ前科がある。

ザ・たこさん、大好きです。ここで言う前科とは、バンド名が長くない、好きなだけでオファーをかけた、という前科です。もっと言うならキイくんの持つホンマもんの『前科』の方が恐ろしい、ですがこれは余談です。)

そしてキイ君のオファーの結果ドラびでおの出演が決まったのです。
フェス当日。
やはり緊張感のある会場。
会場につくとシェキナベイベーズのリハーサル中。
順調にリハーサルが続く中突然、
「まひこ、時間やわ、今日はきっちりオンタイムでいかなあかん」
とキイくん。
バンドが7組出る長丁場のイベントのため時間はきっちりやらなあかん。
言いずらいことも言ってくれる、本当にたよりになる兄貴だ。
続いてボクらサヨナラバイバイズのリハーサルもキイくんの采配により時間通りに終わった。
そして次がドラびでおのリハーサルだった。
入念なリハーサルが繰り広げられる。
リハーサルから会場は大爆笑、大盛り上がり。
身体を揺さぶる上田もいる。
そんな中キイくんだけが時計を気にしている。
やはり主催側としては時間配分が気になるのだろう。
キイくんはいつだって公平で、強いもの(おまわりさんなど)にだって毅然とした態度で接してきた。
今日だってそうなんだ。
一楽さん(ドラびでお)が口を開いた。

「まだ時間ってあるのかな?」


(あるよね)

「はい!全然オッケーです〜!」

早かった。
なんだったら食い気味だった。
「まだ時間ってあr・・・」
「はい!全然オッケーです〜!」

頼りになる兄貴である。


(※イメージです)