第214話 ツチノ(仮名)という女

ツチノちゃん(仮名)とは学生時代からの友人なのでかれこれ10年ほどの付き合いになる。
ツチノちゃんは顔もかわいいし、
頭もいいし、
明るくて元気がよくて、
おまけに料理もとっても上手な女の子だ。
一時期東京に行っていたのであまり会えなくなったのだが、
今は大阪に戻ってきていて、
ペヨーテ(というボクが働いているバー)にもよくきてくれる。
そんなツチノちゃんなんですが、
ひとつだけ、なんて言うか、なんて言ったらいいのか・・・

悪口がすごい。

酔っ払うと、とにかく悪口が過ぎる。
今まで一緒に楽しく飲んでいたと思ったら、
1人誰かが帰った瞬間、悪口が始まる。
まるで親の仇を相手にしていたかのようだ。
ボクも悪口は嫌いではないので、
調子に乗って同調していると、
終盤になって突然ツチノちゃんの歯切れが悪くなる、
そしてだ、そして、

「・・・でも好きやねんけどなっ☆」

えっ・・・?

好きなん?
あんな悪口言うてたのに?
あれ、オレだけ悪いヤツみたいになってるやん、
なんなん、なんやったらオレが悪口言うてたみたいになってるやん!
ツチノが始めた悪口やのに、最終的にオレが悪口言うてて、
ツチノが「いや、でもいい子やねんでっ☆」みたいになってるやん!
なに?この納得のいかへんかんじ!
でもね、昔松本人志が言うてました、
「悪いところが100個言えて、それでも一緒にいたいと思えるヤツがホンマの友達や」
って言うてました。
それなんかな、ツチノちゃんの悪口もソレに当たるんかなって。
・・・かなっておもてたんですが、
どうやらちゃうぞ、
どうやらちゃうねん、

こいつと飲んでたら毎回誰かの悪口言うてるがな!

こいつは口悪いだけや!
はっは〜ん、こいつ、相当根性悪いな〜、
こんなこともありましたわ、
ペヨーテに十三の狂犬こと十三のかをりちゃんが来店したんすわ、
かをりちゃんしこたま飲みはりまして、
終電ギリギリになってたんです、
ツチノちゃんとかをりちゃんは友達同士なんで、
かをりちゃんがツチノちゃんに言うたんです。

「おい、われ、今日泊めんかい」


(訳:ねぇ、ちょっと、今日泊めてくれない?)

ツチノちゃん頑なに拒否なんです。
「私、ヒトを家に招くん得意じゃないねん、それに散らかってるし・・・」言うて。
ボクはツチノちゃんが月1くらいで自宅にヒトを招いてパーティーしてるのも知っていたんですが、
十三の狂犬みたいなもんを家に泊めたくない気持ちもようわかるんで黙っていたんです。
かをりちゃんも無理矢理泊まるわけにも行かないんでしゃあなしで、帰っていったんですわ。

「火つけたろか!」

言いながら。
いや、ホンマに泊めんでよかったで、 ツチノちゃん。
と心底おもてたんですが、
五分後くらいですかね、
耳疑いましたわ、
ツチノがです、
「かをりちゃん、無事帰れたかなぁ、心配やわ・・・」

ほな泊めたれや!

どの口が言うんでしょう、
特に明日用事ないわけですし、
心配なら泊めてやれば良かったんです、
こうも言ってました。
「かをりちゃん、どうして帰っちゃったんだろう?」

オマエが泊めてやらへんからや!


(火つけたろか!)

根性の悪さで言うたら、
『東のまいこ、西のツチノ』や思うんですが、どうでしょう。
二人でなんかやったらエエのに。
二人でヒップホップユニットでもやったらエエのに。
女に全く支持されへんユニット。
『SHOW!WA!クソビッチ!』ってゆう。
プロデューサーには上田太一を迎えます。
何を隠そう件の上田氏、
5〜6年ほど前ですか、
『紺色ブルマーズ』ってゆうガールズバンドをプロデュースしたことがありまして。
女子が体操服にブルマでロックを演奏するってゆう企画やったんですが、
メンバーがこれまたすごい。
ボーカルがビワみたいな乳首の女子高生、
ギターがまいこちゃん(嫌われ)、
もう一人のギターがかをりちゃん(十三の狂犬)
ベースが上田くんの彼女、
ドラムが友達の彼女、ってゆう。
全員ど素人やったんですが。
紺色ブルマーズは残念なことに一回のライブで解散してしまったわけですが。
主な原因は十三の狂犬かをりちゃんと嫌われまいこの仲の悪さと、
プロデューサー上田氏の『気分のムラ』やったわけですが。
(ドラムの『友達の彼女』は友達と結婚して一児のママとして幸せになられてます。)

彗星の如く現れてほしいっす。
上田太一プロデュースのヒップホップユニット、
『SHO!WA!クソビッチ!』