第225話 今日はまだ始まったばかり

朝8時50分、強烈な吐き気で目覚める。
出勤十分前だ。
何度も繰り返してきた、ビートの効いた朝だ。
愛車マルコム・マクラーレン号(自転車)にまたがり職場を目指す。
一組のカップルが前を行く。
タイトなミニスカートからはみ出た、その伸び悩んだ足が二日酔いの憂鬱さを増長させる。
ブスのカップルの女の方が言った。
「この公園、栗の木なんかないのに栗が落ちてる〜、不思議〜」

いやいやいや、その前にこの栗ネットに入っとるがな!

オマエの頭と顔が不思議やわ!特に顔が!

スパイシーな突っ込みを心の中で入れながら先を急ぐ。
なんとか遅刻せずに職場に到着。
仕入れ作業をしていると喉に違和感が。
鏡で喉を確認すると、
なんと喉ちんこにもうひとつ喉ちんこみたいなのがひっついている。
なんやこれ!
職場のみなさんにも見てもらうと、
これはただ事やない、病院行ってきなさい、
との事やのでいざ病院へ。
ボクの喉を見るなり医者が言うた。
「昨日たこ焼きかなんか食べた?」

え・・・これ・・・たこ焼きなんすか?

「いや、そうじゃなくて、これは喉ちんこが内出血して血豆になってるんだけど、熱いものを急いで食べたりして火傷しちゃうとこんな風になるんだよね」
心当たりないですわ〜、
「えづき過ぎてなっちゃう人もいるけどね」

それや!

それですわ!
完全にそれですわ!
「喉に血豆できるほどえづいちゃダメだよ〜」
すみません、ホンマ気をつけます。
「じゃぁ、薬塗ろっか、口開けて〜、はい、アーーー」
アーーー・・・アーーア、ア゛ーーー、アア・・・オエッ、オっ、オエッ!!

えづくわ!

いやいや、そんな、めんぼうで喉つっつかれたらえづくわ!
・・・なんだろうか、このリズム。
時計の針は10時半をさしている。
今日はまだ始まったばかり。
全うできるのかな、天寿。
全うしたいぜ、天授。