第224話 ペヨーテ24時

ここは玉造、ペヨーテ(というバー)。
時間は10時(夜のやで)を幾分かまわったところだろうか。
その紳士は一杯目のバーボンロックをカランと飲みほし、
二杯目のバーボンロックを注文した。
「バーボンをロックで。さっきより濃いめで」

バーボン、ロックを濃いめで・・・?

将軍さまにちがいない。
将軍義満公がお忍びでやってこられた。
わたしもここ玉造で一年バーテンをしている。
若輩とはいえ色んなピンチを切り抜けてきた自負はある。
ビールがお湯だった夜、
チューハイの樽の栓が固すぎた夏、
床から水が吹き出してきた秋の日、
安藤さんが帰らない夜更け、
泣き疲れたババァが寝ちまった雪の明け方・・・
幾多のピンチと向き合ってきたわたしだ。
しかし、ここにきてトンチ勝負?

一休さん、知恵をさずけてくれ〜


(一休宗純 1394〜1481)


この背広を着た将軍さまをギャフンと言わせてくれ〜!
※ 正解は『氷をひとつ減らす』でした。

ここは玉造、ペヨーテ(というバー)。
時間は一時(夜のやで)を回ったところだ。
常連の鶴田くんは女性を連れていた。
鶴田SAY。(鶴田は言った)
「君はね、わかってない、男の・・・」
ここまで言って女がSAY。(女が言った)
「どうしよう『君』なんて言われてキュンとしちゃった・・・」
キュンとした目で女はWAIT。(女は続きの言葉を待った)
「君はね、わかってない、男の・・・

男の性欲のなんたるかをわかってない!」


(オマエの性欲は見たくなかったぜ〜♪)

・・・それ?

キュンとし損やがな。
ただのスケベやがな。
鶴田ドンマイ、
また機会があればセックスにつなげていこ!

ペヨーテの夜は今日も更けていくのであった。
男の哀しみをまといて。


(慌てな〜い、慌てな〜い、一休み、一休み♪)

鈴木は出てくるな!