第253話 竹村さんの鶴

週末に、後輩のけつむらさんと鍋をした。
けつむらさん、最近すごい金欠だ(けつむらだけに)。
細木数子とセックスしたら1万円もらえるってなったらヤる?」
って聞いたら、
即答で「ヤる」と。
食い気味で「ヤらせていただきます」と。
そのレベルの金欠です(けつむらだけに)。
とっても深刻なレベルです。
そんなんなので金曜日やなのに外に飲みに出ることができひん。
金欠の時は家飲みに限る。
っていうことでボクの家で(正確にはボクの家でないんですけど)鍋をすることになったんです。
しかし、家飲みと言うたかて、このけつむら相当深刻な金欠状態(けつむらだけに)なわけです。
おごらないかんのか?
かわいい女子にならともかく、けつむらみたいなもんにおごらないかんのか?
率直に聞いてみた、「けつむら、ナンボ持ってんねん、ナンボ出せるんや」と。
ほな、けつむらしぶい顔で言うたんです。

「竹村さんの鶴くずしますか・・・」


(竹村さん)

竹村さんの鶴をくずす・・・?
どういう意味や、さっぱりわからへんぞ。
竹村さんっていうのはボクが夜働いているペヨーテ(というバー)の常連の方なんですが、
『竹村さんの鶴』てどういう意味や?

「こないだ竹村さんに千円札で折った鶴もろてん。」

竹村、なにしとんねん!

え?竹村さんなにしてるんすか?!
千円札で折った鶴をけつむらに?
なんで?

「三羽もろてん」

いやいや、竹村!

竹村さん何をしてんすか!
ほんでけつむらもそんなん貰うな!
気持ちの悪い!
竹村もけつむらもどないしてもうたんや!
ほんで、けつむら、今その鶴を持ってるわけやないんやろ?
ほな、後日その鶴でお返しすると?
鶴をくずしてお返しすると?

鶴を折った千円札て、それ、クッシャクシャなんちゃうんかい!

そんなものをお返ししようとするなよ!
自動販売機にもはいらへん、
コンビニとかでイヤな顔され、
使いづらぁてしゃぁないがな!

かといって鶴のままはもっと最悪や!

どうすんねん!
最悪や!

とりあえず、今日のとこは出しときます、
鶴のことは追々考えていこ、ということで、
レジに向かったんです。
3611円ですわ。
3000円を払って細かいのん探しておったんです、
ほなけつむらさんが「ここは出させてください」と。
細かいのんくらい出させてください、と。

11円出しやがった。

細かすぎるわ!
611(ロクイチイチ)やろ、そこは611(ロクイチイチ)やろ!
腹立つわ、
さっきもビールをかごに入れてた時もや、
キリンを入れておったんですわ、
(キリンさんが好きやからね)
ほなけつむらのやつ、キリンを二本返して、

「ボク、サッポロ派なんで・・・」

知らん!
オマエみたいなもんは発泡酒飲んどけ!
金はらわへんやつが、好き嫌いを言うなよ!
ほんで竹村さんの鶴、どうするかちゃんと考えとけよ、
宿題や。