第298話 事件

嫌な音がした。
それは何かを引き裂くような音だった。
嫌な予感がした。
そこに居たみなが一斉に一人の男を、見た。
その予感は的中していた。
一人の男がサプリメントの袋を引き裂いていた。

「・・・緒方、オマエ・・・何してんだ?」


(お・・・緒方・・・オ・・マエ?)

緒方say(緒方は言った)
「いや、この受注伝票に『袋だし』って書いてあったんで」

違うんだよ〜


(緒方〜違うんだよ〜)

違うんだよ〜、緒方〜、
そうじゃないんだよ〜、緒方〜、
『袋だし』ってゆうのはさぁ、
こちらの思惑やさぁ、あちらさんの都合でさぁ、
箱で梱包(こんぽう)して発送が出来ない時があるんだよぉ?
そんな時にさぁ、紙袋やビニールの袋で梱包して発送するんだよぉ?
つまり、『袋で出す』んだよぉ?
それをさぁ、
それをさぁ、緒方ぁ・・・


袋から出してどないすんねん!


(叩き斬るぞ!)

どないすんねん!
おい!これどないすんねん!
このサップリメントどないすんねん!
イヤや〜〜、こいつ、ホンマにイヤや〜〜!
今が戦国時代やったらオマエ叩き斬ってるぞ、
叩いた上に斬るっていう意味やぞ、
まぁ、今は幸いにも戦国時代じゃないから叩き斬ってないわけやけども、
叩いた上に斬られてないわけやけども、
ってゆうか、オマエ、このパターン初めましてみたいな顔してるけど、
そんなわけないしやな!
オマエ今までに、この二か月ちょいで何度も『袋だし』してきたやん、
袋出してきたやん、
それを、何を、突然・・・

鼻毛出てる!


(鼻毛しまえ〜〜〜!)