第297話 悲しい男

悲しい男のお話しです。
今日のお話しは恋に破れた男の悲しいお話しです。

わたしのジョブ場の上司(女性です)が恋人と別れたのは2ヶ月ほど前の事である。
半年ほど同棲をしていた二人。
きっかけは些細な事であったように思う、
いや、きっかけなんてなかったのかもしれない、
一度はあんなに愛しあった二人の間には大きな、そして深い溝ができてしまった。
そして女は部屋を出ていった。
大量の荷物を残して。

「ちょっと!今度の土曜、荷物持ってきてくれへん!」

男は、レンタカー屋に走った。
悲しい。
レンタカーを借りて一緒に暮らした女の荷物を運ぶ男は悲しい。
久々に会う二人。
2ヶ月前まではいつも一緒だった。
男は小さくつぶやいた。
「まな(仮名)・・・オレやっぱりオ・・・」

「はよ、降ろしてよ、荷物」

二人の間には何の予感もありはしない。
男はこの2ヶ月間、女のことを考えない日などなかった。
男がまた口を開く。

「まな・・・オレ、胸に北斗七星の形のホクロがあるねん、気づいてた?」

ホクロ・・・?

ホクロの話・・・?
ここにきてホクロの話ですか?
「見る?」
見いひん。
エエから荷物を降ろしてくれへん?
ホクロええから荷物をおろ・・・

脱ぐなや!

脱がんでエエねん!
気持ちの悪い!
さっさと荷物を降ろせや!

「ここやろ、ここやろ、ここ、ここ、そしてここ」

説明すな!
説明エエねん!
説明エエからはよ荷物を降ろせ!
服をきて、荷物を降ろさんかい!
・・・ん?ちょっと待たんかい、
ホクロやけども、そことそことそことそこと、そしてそこやろ、

五つしかないやないか!


(5じゃねぇか!)

乳首も合わせてか?
乳首合わせて北斗七星か?
勝手なことを言うな!
そうゆうとこやねん!
ホンマ、そうゆうとこやで!


(SOUIUTOKOYADE)

悲しい男は、今日も悲しい。