第389話 評価

「ゴニョゴニョゴニョ・・・・」




何?何て?聞こえないって!


KTRさんと働き始めて三日が経った。
働きぶりは至ってマジメである。
手も器用な方なので梱包作業も迅速にこなしていると思う。
だがしかし、やはり、声がちっせえ。

「ん?なに?加藤さんなんて?」

「いや・・・髪の毛染めたいなって思って・・・」

「ん?なに?髪の毛染めてえ?うっせえなぁ、そんなの知らねえよ」

「白髪にしようかなって・・・」




(!!??)



「・・・え?白髪・・・?」




・・・なんで?


KTRさんSAY(KTRさんは言った)


「いや、白髪にするやん、ほんで58歳くらいでもう一回黒に戻すねん、若返るやろ」


するってえとなんですか?
15年後に備えて今を完全に捨てちまうと?
まぁ、加藤さんの人生なんで好きにしてもらって構わねえんですけれども。
ははっ、
15年後つるっつるにはげた58歳の加藤さんとボク、まだ働いてたりして・・・


(・・・え?はげんの・・・?白髪にすんのやめよっかな・・・)

ジョブ場の上司に聞いてみた。
「加藤さんどうですか?」って。
三日間働いて、加藤さんどうですかね?って。
冒頭でも言ったように、だいたいにして、マジメなんですよね、加藤さん。
黙々と作業したはりますし、
梱包も早くて、意外にも丁寧な仕事しはりますし、
ボクは今まで見てきたアルバイトの連中より、
年の功なのか、エエ感じy・・・


「中の下やな」



(ぁんだって??!!)

ボク、正直、腹立ちまして。
そんなわけないんです、加藤さんが中の下なわけないんです。
加藤さんムッチャ頑張ったはります。
そんな加藤さんをつかまえて、中の下やなんて・・・
ボク、上司に言いましたよ、
さすがのボクもね言ってやりました。
「中の下って・・・そんなわけないじゃないですか!


下の中でしょ」



(・・・・へ?)