第390話 ジョブ場でのいくつかのこと

■ですよねの人


ジョブ場に新たな新人が入った。
小西くん(仮名、29歳)である。
嫌な予感がしている。
彼、小西くん(仮名)、『ですよね』の人じゃねえだろうか。


『ですよねの人』とは・・・


京都時代に出会ったジョブ場の後輩であるのだが、
仕事を教えていると、全ての返しが『ですよね』なのだ。


あ〜、その商品はそこじゃなくて、あそこやわ〜


「ですよね☆」


えっと、それは右から順番に並べていってほしいねん


「ですよね☆」


それ、品番ちがいやで、こっちが正解やわ


「ですよね☆」



・・・。




なんか、ひっかかんなぁ!



すごいフックやわ、
「ですよね☆」ってなんやねん、
わかっとったんかい、
ほな、そのようにせんかい、
ほなはじめからそのようにせんかい、
あれ?むっちゃムカつくぞ!
あれ?なんかオマエ、むっちゃムカつくやん!


「ですよね☆」



だから、それやめんかい!



嫌な予感がしている。


若木(仮名)の憂鬱



若木(仮名)に恋人ができたのは、今年の春先だったろうか。
若木(仮名)にとって初めての彼女だ。
若木(仮名)は自分のことをあまり喋りたがらない。
すかしてんだ。
そんなすかし気味の若木(仮名)になぜ恋人ができたかわかったのかというと、
ラインの写真のところが女子とのツーショットになっていたから。
わかりやすくて、とってもいい。
幸せそうな二人。
そして、季節はうつろい、
現在、若木(仮名)のラインの写真のところは、


冬の並木道になっています。



(どうしちゃったんだろうな・・・)


お兄さんは何も聞かない。




(何も聞かない)



■加藤さんの手帳


加藤さんが入社してはや1週間。
やっぱりなんつっても声が小せえ。
覇気がねえ。
元気のねえ40歳はあつかいずれぇですよ、つって。
まぁ、でも焦らずゆっくり仕事覚えていってくれたらいいですよ。
加藤さん、なんすか?その手帳。
仕事の手帳っすか、見せてくださいよ。


(え・・・?いいけど・・・)




(ドーン)


名前・・・?


1ページ目名前だけっすか・・・?
大事ですけど。
名前覚えるの大事ですけど・・・。
多分勝手に覚えられると思いますし、
書いて覚えるなら書いて覚えるで全員分書いてください。
うちの会社四人ですか?
ほんで木村コウスケは書かんでもエエやろ。
2ページ目いってみましょか。




(ドーン)


え?




(ドーン)


え?え?





(ドーン)



名前だけ??

まさか、名前だけ??
加藤さん・・・おまえ2週間おって名前だけ?
覚えなアカンなぁと思ってメモとったん名前だけ?
焦らずゆっくりって言うたけど・・・


ゆっくりすぎるわ!



キュポ〜〜ン!!