第八話 成立しいひんのやで!

ある日、兄圭太郎が電信柱をじーっと見ていた。
酔っぱらいの立ち小便防止のための赤い鳥居のマークが気になるらしい。
急に、圭太郎が鳥居に手を合わせた。

「どんなところにも神様っていはるねんな・・・」

あ〜、違う、違うんだ。
それは違うんだ。
酔っぱらいが立ち小便しないように、
鳥居のマークがついてんだ。
ほら、しずらいじゃん?
鳥居にオシッコってひっかけづらいじゃん?
はっ、ちょっと動揺し過ぎて標準語になってもうたやん。
いやいや、神様かて宿る場所考えるて、
なにが悲しくてこんな汚い電信柱に?
「私は電信柱に宿る神、東の国から参った!」ってか?
違う、違う、これは商店街の苦肉の策や、
肉屋も魚屋も困ってはんのや。
「して、若いの、道にお迷いか、東に行きなされ、さすれば道は開かれようぞ、これを授けよう、なに?これか?これはパナップじゃ、カッカッカッカッカ!」ってか?
違う、違う、みんな困ってはんのや!
駅前にスーパーもできてやな、
あげく、酔っぱらいに店先でオシッコまでされて、
困ってはんのや!
ほんで神様もパナップとか授けてくれんでええねん!
(美味しいけど)
アイスお土産に持たされたらすぐ食べなあかんし迷惑やねん、
(美味しいねんけど)
たまにくれる人いてるけど!

え?なんなの?
心がキレイなの?
それともバカなの?
どっちなの!!

はっ、動揺し過ぎてオカマみたいになってもうたやん。
あかんで、アカン!
27歳男子の不思議ちゃんは成立しいひんで!
成立しいひんのやで〜!