第十話  スピードメニュー

居酒屋行ってイラっとするのが、
まずドリンク注文するじゃないですか、
ほんでまぁ、ザッと焼き鳥、刺身、一品ものとか注文します。
ほな店員(スタッフ)が提案してきよるんですよ、
「お料理お待ちの間にスピードメニューいかがですか?」
それもそうやなぁ、思いますやん、
ほな、料理待ってる間に何かよばれよかしら、いう気持ちになりますやん、
ほんでこのたたききゅうりを注文しますやん、
ほな、スピードメニューのたたききゅうりがくる前に、

つきだしが到着しやがった・・・

いやいやいや、
つきだすんかい!
完全にスピードメニューの意義失ってるやんか!
お料理を待ってる間のスピードメニューちゃうんかい!
今、つきだしがきた時点で、

スピードメニューを待ってる形になってもうてるやん!

オマエもようシレ〜っと持ってきたなぁ、
そのつきだしのきゅうりの酢の・・・・!!!
そのつきだし、きゅうりの酢の物やないか!
オレが注文したスピードメニュー、たたききゅうりやで、
きゅうり、きゅうりになってもうてる、
はっ!次に到着するであろうシーザーサラダにもきゅうりが入っているんちゃうんかい??
ほら!シーザーサラダにきゅうり入ってるやん!
なんやねん、このテーブル、

ムッチャきゅうりが好きなヤツのテーブルみたいになってもうてるやん!

期せずしてやで、期せずして。
不本意不本意やわ〜!
うわぁ、こんなんムッチャいや!
テーブルバランス大事にするタイプやのに、
できれば焼き物、生もの、揚げ物、サラダなどバランスよくテーブルに乗っていてほしいタイプやのに。
から揚げと天ぷらが一緒に並ぶだけでちょっとだけ反省するくらいやのに。
今、見てごらんよ、
きゅうりが三品、揃い踏み・・・。

河童やないねん!

早くこのテーブルバランスをどうにかしたい!
このテーブルバランスをどうにかしたい一心でやな、
たたききゅうりときゅうりの酢の物を平らげる、
すごい勢いでこのきゅうり達を平らげ・・・

はっ!ムッチャきゅうり好きな人みたいになってもうてる!

不本意不本意の極み!
不本意、ここに極まれりやわ〜、
テーブルバランスを取り戻そうと思って、
一心不乱にきゅうりを食べてる姿が、きゅうり大好き人間のソレやん。
違う!違うんです、
この姿は仮の姿なんです!
ボクこんなんじゃないんです、
ボク、こんなきゅうりばっかり食べるような人間やないんです!
オレがこんなにきゅうりの事で心を痛めてるのも、
全てスピードメニューが悪い!