第二十一話 悪夢

悪夢って見ます?
みなさん、悪夢って見はります?
大学の単位落とす夢(見ます、見ます、あれは冷や汗かいてます)
何者かに追いかけられてる夢(うん、うん、怖い!怖い!)
深い穴にどこまでも落ちてゆく夢(あ〜、心細い!怖いですよね)
しかし、ボクに言わせれば甘いです。
ハチミツとバターとジャムシロップのかかったホットケーキです。
想像してください・・・。

新聞社100社が集まる帝国ホテル。
ざわつく記者会見場。
リムジンから降り颯爽と会場に向かう、オレ・・・。
昨日は一睡も出来なかったんだ。
ガラにもなくあがっちまってな。
田舎のオフクロの顔がちらつく。
もと子は一昨年嫁いでいったらしい。
オレの事はもう許してくれたのかな。
悪さもした、
ただのチンピラだったオレを救ってくれた兄貴・・・。
オレは今日、オトコになるんだ。
全ては今日のためのプロローグでしかなかったんだ。
会場のドアが開かれる。
一斉にカメラのフラッシュがたかれる。
一歩一歩オレは踏みしめる。
これまでのクソッタレの人生を。
そして、白テーブルを前に座った。
そして金屏風をバックにタキシードに身を包んだ司会の男がこう言ったんだ。

「それではこれより二代目上島竜平、襲名披露会見を始めたいと思います。」


悪夢!