第二十二話  パーティーはそのままに

お父さんは仕事を休んだ。
松井家すき焼きパーティーの日お父さんは仕事を休んでパーティーに参加した。

その日昼からお父さんはキッチンに立った。
腕をふるっている。
パーティーにむけて腕をふるっている。
8流とはいえ料理人のはしくれである。
(はしっこだけど。)
数々の一品料理が出来上がっていく。
鮎の塩焼き、
鮎の甘露煮、
稚鮎の天ぷら・・・

うん、鮎ばっかり!

鮎ばっかりやがな、お父さん。
今日すき焼きやで、
確認までにやけど、今日すき焼きパーティーでっせ。

コバエが気になる。
近松井家にはコバエが大量発生している。
あの日以来コバエがいっぱいだ。
みんな気づいてないのだろうか。
あの日以来コバエが大量発生していることに。
松井家では、ばぁさんが死んだ日以降コバエが大量発生している。
お父さんが憤慨している。
そんなことはない、ばぁさんは関係ない、
たまたまじゃないか、夏の風物詩じゃないか、
コバエとばぁさんの因果関係などない、
ばぁさんのせいじゃない、ばぁさんの・・・・

「ババァのせいにすな!」

ババァ言うた!
ババァ、言うてもた!
いけない、ババァはいけない。
ババァはいけないと思うな、ババァは。

ヒガシという男がいる。
マイマイズというロックバンドをしている、
ひとつ年下の友人なのだが、
初対面のお父さんに対してずっとため口なのが気になる。
ちょいちょいお父さんいじってるのが気になる。
(もろこしヘッドてなに?ムヒの塗るとき気持ちいい様になってるあの部分とお父さんの髪型が似てるって?)
注意をした、
ちょっと気になるぞ、その態度。って。
かわいいやつだ、すぐに態度を改めた。
ビールをとってくるらしい。
お父さんのビールがもう入ってないので冷蔵庫にビールをとってくるらしい。
そうそう、真ん中の野菜室の・・・

くさっ・・・

え?え?え?臭い?何が何が?
今ヒガシくん冷蔵庫開けると同時に「くさっ・・・」って言うたよね?
え?ひっかかる、ひっかかる。
すんごいひっかかる!
え?失礼なん?アホなん?ドッチなん?

ドッチもじゃ!