第五十三話 ブタクソゴリラ

嫌な予感してたんです。
もうね、いや〜な予感がしていたんです。
あっ、うちのゴリラの事なんですけども。
うちのゆりえ・ブギー(ドラム担当)の事なんですけども。

今日(日付変わって昨日)は西院(という町)をあげてのミュージックフェスティバルに出演したんですけども。
フェスタ西院2011夏の陣ってゆうイベントに出さしてもろたんですけども。
ゆりえ、飲みすぎるんちゃうかなって初めっからおもてはおったんです。
四時くらいにライブハウスでゆりえと会うた時点で嬉しそうにビール飲んでおったんで。
(何を嬉しそうに飲むことがあんねん、オマエみたいなもんが!)
そこから九時くらいまで音沙汰がなかったんで、
メールとかしても返事がない、
(おやっ、これ大丈夫かなぁ・・・)とおもて町を歩いていたら前から見事な千鳥足の人(?)がやってくるではないですか。
(アッチャ〜・・・)ですわ。
前から歩いてくるのはベロンベロンのゆりえ・ブギー、その人ではないか!
もうね、この時点で西院でイチバン酔うとる。
見つからなくて、言葉が。
何も言葉が見つからなくて、気づいたら叫んでました。

「・・・・・オマエか!コラァ!」

ボクの知ってる人の中でイチバン最悪なあだ名つけられてる人は『ブタゴリラ』なんですけど、
キテレツ大百科でおなじみのブタゴリラなんですけど、
ブタゴリラってすごい短気で乱暴者やのにブタゴリラって言われても怒らへんのなんでなんやろ、不思議っ)
もうね、ゆりえみたいなもんにはもう一つ最悪なあだ名をつけてやりますよ。
『ブタクソゴリラ』やで、あんなもん。
ボクの携帯のメモリーには『暴れメスゴリラ』って登録されてるんですけども、
い〜や、生ぬるい、あんなもんはブタクソゴリラや!
ブタでクソでゴリラやん、あんな生き物。
取り締まって!
八百屋で桃を押してるおばちゃんと、この暴れブタクソゴリラを取り締まって!

(そういえばこないだ八百屋に行ったときに【桃を押す人には桃を売りません】って書いてあったんやけど・・・逆ちゃう?押した桃は買ってもろた方がいいんちゃう?ババァの押した桃買いたくないで。ババァ!押した桃はババァが買え!おっと、脱線脱線)

ボク一人では抱えきれなくて、
ボクの小さな(そしてキレイな)この胸には入りきらなくて、
上田くんを呼びに行きましたよ。
上田くん連れて僕らが出演する会場に行ったんですけども、
見当たらないんですよ、ゆりえのやつ。
Aスタがライブ会場、Bスタが楽屋、そして今日は立ち入り禁止のCスタにやね、

一頭のゴリラが転がっていやがる・・・

あかん!熟睡してる!
もうね、誰かこいつを宇宙船に乗せて銀河系の外に放り出してくれ!
こいつと石原東京都知事を遠く銀河のかなたへ!
あと羽野亜紀と。(嫌いやねん)
あの温厚な上田くんが顔真っ赤にして怒りましたからね。
コジコジの顔面を持つ男(37歳、ほぼ童貞)が顔真っ赤にしておこりましたからね!


助走つけてボッコ〜ン!ってゆりえのかったいケツを蹴りましたからね。
ゆりえ、さすがに起きたんです。
怒るんかな、謝るんかな、おもて見てたら、

「帰る・・・和歌山・・・帰る、中南部に・・・か、帰るから・・・」

寝ぼけやがった・・・

もうね、信じられへん、
あと小一時間もしたらライブやのに、このブタクソゴリラはなんと寝ぼけやがった。
なんやねん、「和歌山に帰る」って。
最悪「和歌山に帰る」はエエわ、(いや、アカンねんけど)
なんやねん、中南部て!
ここで上月クン登場ですわ。

上月クンにも見てもろたんですけど、
いや、診てもろたんですけど。
ゴリラ号泣。
美しない涙もここまできたら気持ちいいですね。
時計は十時をもうまわっている。
後戻りはできない・・・のだった・・・。(完)

あとがき:
結果的にボクたちひとまわり大きなれたと思います。
試練乗り越えった感じっすわ。(乗り越えんでもエエ試練やけど)
バンドのキズナも深まりましたし。(前の三人だけやけど)
ライブはボク個人的には完全燃焼しました、(人生でイチバン汗かきました)
最終的にみんな笑顔やったと思うんで。(ゴリラ、オマエは笑うな!)
ホンマ、ゴリラ放し飼いにしたらあきませんわ。