第六十二話 ゲラ

お盆ですな。
お盆で思い出すのが去年のオカンの初盆です。
オトン、おばさん、三兄弟+圭太郎のカノジョの西川さんってゆうパーティで墓参りに行ったんですけど、
お坊さんにお経もあげてもろてっていう催しやったんですけど、
なんかその坊主のお経がすごい癖がありまして。
ボク途中でわろてもうたんです。
肩を震わせて、なんやったら腹抱えるくらいに。
全然止まらへん、
ボク所謂『ゲラ』でして、笑ったらアカンとこでわろてまう。
笑ったらアカン、笑ったらアカンと思えば思うほどダメでして。
もうホンマに止まらないんです、
それを見てた圭太郎にも伝播してもて。
パッと見たら圭太郎も肩震わせてるんです。
それ見てボクもまたおもろなってきてってゆうダメなグルーヴが生まれてもうたんです。
ほんでオレらが肩震わせてわろてるのを後ろで見てたお姉ちゃん、
オレら泣いてると勘違いしてもてもらい泣き。
お姉ちゃんが泣いてるのを隣で見てた西川さん、それ見てまたもらい泣き、
ってゆうこれまたダメなグルーヴがその場を完全に支配してまうってゆう。
そんなお盆の思い出。
今年はそんなことのないようにしないとなっ!

そう、ボク『ゲラ』なんですわ。
高校の入学式の時もやってまいまして。
ボクの入学した高校ってゆうのが地元でも名の知れた出来の悪いヤツがいく高校でして、(1つ先輩にレイニーJグルーヴの浜田くんがいてるってゆうたらわかりやすいですかね)
そうゆう高校の常ですかね、校則が厳しいんですわ。
髪の毛なんか耳にかかったらアカンってゆう徹底ぶりで。
その高校の入学式にボクはなぜか金髪で行ってしまいまして。
やはり先生方がザワザワしてますわ。
(あちゃ〜、やっぱ怒られるんかなぁ・・・)
おもてたら、案の定一人の体育教師がカツカツと近寄ってきまして、
すんごい恰好した体育教師。

(うわ〜、なんちゅう恰好やねん、まずズボン短っ!ホットパンツやん、ほんでダボッとしたクリーム色のサマーセーターのだっさいこと・・・そして髪型ね、全体的にフワッと仕上げて、後ろ髪はっと・・・どこまでカリアゲとんねん!ブロッコリーやん!)

教師が吠えましたわ、
「オマエ!なんちゅう髪型しとんねん!校則知らんのか!」

髪型の事言う〜?

いやいや、こっちのセリフやねん!
なんちゅう髪型しとんねん!
ブッロコリーやん!

こんなんやで、
こんな髪型でパッツパツの短パンにダボっとしたサマーセーターを身にまとった男前に髪型を指摘されたらわろてまうやん!
「ブフッ」

「何がおかしい!」

いやいや!オマエのいでたちや!

聞く〜?ソレ聞いてしまう〜?
突っ込み待ちやとしか思われへんやん、
何がおかしいかって?
言えません!言えません!
そのパッツパツの短パンとダボっとしたサマーセーターとブッロコリーみたいな髪型がおかしいんです。だなんて・・・!!
口が裂けても言えるわけないやんか!

ホンマどうしたはるんやろ。
あの先生。
なんと担任やったからなぁ。
フジタ エイジ君。
あれから12年、ボクもあの時のフジタ先生と同じ歳になりました。
どうしよ、まだあの恰好してはったら・・・。