第六十三話 灯籠流し

「坊さんが屁をこいだ!」言うてね、
坊さんをね、おちょくってたら怒られますよ、
坊さんもなぁ・・・屁くらいこくんじゃぁ!!
言うて。

昨日はね、嵐山の灯籠流しに行ってきました。
今年の5月に亡くなったおばあちゃんの初盆やしね、
無宗教のお母さんも灯籠流しは好きやったから。
オカンとばあちゃんと松井家の灯籠を流してきました。

ホンマにきれいやなぁ、
幻想的やし、厳かや、
なんか込み上げてくるものがあるなぁ、
帰ってきたはるんかなぁ、
なぁ、オトン・・・あれ、オトン?

「タバコ吸いに行ってくるわ」

飽きた!

飽きてた!
はやっ、飽きんのはやっ!
もうちょい浸りいな、
我が母と我が妻の灯籠流しやで、
タバコを吸いに行ってる場合やあらへん!

オマエも一緒に流れて行ってしまえ!

灯籠と一緒に流したろか!
そのあと飯食いに行ったんですけど、
「はっ!お母さんとおばあちゃんの写真忘れてもうた・・・!!」
オトン、アカンて、
今日は何の日やねんな、
お盆でしょ、お盆!
はい、言うてみて、
「今日はおばあちゃんの初盆」はい、言うて!
写真忘れたらアカン!
ただのお食事会なってもうてるよ。
「え〜っと、人数分生ビールとあと生の小さいやつを一つください・・・今日は私の妻と母が帰ってくる日なので、お供えで・・・」

そうやな、オカンもおばあちゃんもビール好きやったからな、
供えよ、供えよ、一緒に飲もや、
かんぱ・・・あれ?生小・・・一つ?

ケチった!

二つや!
お供えのビールは二つや!
オカンとおばあちゃんの分やろ?
ほな、生小二つや!
そこは絶対ケチったらあかんとこや!
(灯籠流し一瞬で飽きて、写真も忘れて、お供えケチって・・・)
圭太郎の彼女の西川さんが仕事終わりで合流した。
オトンが撮った灯籠流しの写真を見せる。
「きれいやろ、下押していき、どんどん見れるから」


「ラーメンの写真になったんですけど・・・。」

少なっ!
灯篭流しの写真少なっ!
灯籠流しの写真三枚しか撮ってへんやん!
ホンマに飽きんのはやっ!