第七十話 キリンの願い

「キリンさんが好きです。でもゾウさんはもっと好きです。」

これは昔の中国のえらい坊さんの言葉なんですけど、
この言葉が示してるとおり昔から動物界では人気者とされてるゾウとキリン、
いや、ゾウさんとキリンさん。
今日はそのキリンさんについて考察していきたいと思います。

思えばキリンてほんとに不思議な姿かたちをしています。
操縦席のような頭、斬新な模様、そして長い首・・・。
その昔、キリンの首は今のように長くなかったと言われています。
高いとこにある美味しそうな葉っぱを食べたくて首が長くなったと言われています。
(首が伸びる程美味しそうな葉っぱてなんやねん)
来る日も来る日もキリンは願っていたんです。
(あぁ、あの葉っぱ美味しそうやな、あの葉っぱどうにかして食べたいな)って。
そしてある日朝起きると首が伸びていたんです。
キリンはとても喜んだそうです。
「やったぁ!首が伸びたぞ!これであの葉っぱが食べられるんだ!」って。
でもキリンはすぐにこう思ったはずです。

足伸びんかい!

背高なったおもたら首かい!
なんで首やねん!
足伸びんかい!ってね。
絶対憂鬱ですよね、そんな朝。
週七で寝違うようになったわけですし。
どうですか、みなさん、
朝起きたら首がニョキーンて天をつくほど伸びていたら、
ご飯食べようとおもたらお箸が口に届かない・・・はっ!首伸びてるやん!
歯磨きしようおもても歯ブラシが口に届かない・・・はうっ!首が伸びてるやん!
ネクタイしよ・・・あぁ〜!首が〜・・・首が伸びてるやん!
その朝は仕事も休んだでしょう。
なんせネクタイが完全に似合わない身体になってしまったんですから。
(何よりすごい寝違い起こしてるでしょうし。)
哀れ、キリン!
でもすごいぞ、キリン!
しかもキリンのすごいところは一頭のキリンだけやなく、
全てのキリンと後世生まれてくる全てのキリンの首が伸びたってところですよね。

キリンの願いはかなったんです。
その朝は憂鬱やったにせよ、(ネクタイ〜)
キリンにとってベストな形ではなかったにせよ、(首かい!)
キリンにとって不本意な形ではあったにせよ、(足よ!!)
キリンの願いはかなったんです。
キリンは来る日も願いました、
そしてある朝、願いは思いもよらぬ形でかないました。(も〜、だから、足よ〜!)
あれからいくつの月日が流れたでしょう。
数えきれない朝がきました。
キリンは今日もあの葉っぱを食べています。

ボクたち一人一人はちっぽけで何もできないかもしれません。
しかし、願うことはできるんです!(キリンのように)
願いましょう、平和な世界を・・・!!
戦争も差別もない世界を、
放射能におびえることもミサイルにおびえることもない、
そんな世界を・・・!!
首伸ばすより随分簡単なはずやから!

(仕事をください)