第七十五話 タクシー

茶店、茶をしばいていたら、となりのオバハンらがタクシーの話をしていた。

「わたしタクシー苦手やねん」
あぁ、わかります、わかります。
「あの独特のにおいがイヤやねんな〜」
わかりますわ〜、タクシー独特のにおいってありすもんね。
「あの狭さにも酔ってしまうねんな〜」
圧迫感ありますもんね〜、わかるな〜。
「おまけに動くでしょ?もう動くとダメ!せめて動かへんかったらいいのに」

動くからいいんじゃ〜ん!

タクシーって動くからいいんじゃ〜ん!
(ハッ!動揺して関東弁になってもうた!)
いやいやいや、タクシー動かへんかったら、
それはもうただの臭くて狭い所やん!
なんやったら知らんオッサンと二人きりやし。
なになに?
ほななんでとめたん?
とめたんオマエやん!(全然知らん人やけどオマエと言うたれ)
動いてほしかったからでしょ、
動いてほしかったからとめたんでしょ!手挙げたんでしょ!
動くんは目つぶれ、においと狭さを克服しなはれ!

まぁ、でもボクもだいたいにおいてタクシーは敵と見なしてますわ、
なんでタクシーの運転手はあんなに態度が悪いの?
返事もしよらん事もありますからね、
いや、モチロン中にはエエ人もいてはるんですよ、
「二千円しかないんですけど○○まで行ってください」
とか言うてもイヤな顔一つくらいで連れていってくれはる人もいたはりますし。
イヤな顔3つくらいは覚悟してますからね、
イヤな顔一つくらいで連れて行ってくれると嬉しいですよね、
(やっぱイヤなんやな)とは思いますけど。
イチバン腹たつんがアレですわ、
「ほな、この辺でいいです」言うでしょ、
ほな「はいわかりました〜」ってちょっと走って止めて、

ガチャン!

「あっ、メーターあがっちゃいましたね〜」

メーターあがっちゃいましたね〜、やあらへんねん!
腹の立つ!
「あがっちゃいましたね〜」
腹立つ、腹立つ、腹立つのり!

原辰徳
「この辺で」って言うてからちょっと走ったやん!
「いや、クルマとめるとこ探さないと・・・」
知らんわ!
クルマをとめるとこがあるとかないとかそんなんは・・・

こちとら預かり知らぬことなんじゃ!

知らぬ!
「止めて」って言うたらクルマ止めずともメーター止めんかい!
料金メーターを止めてからクルマ止めるとこ探さんかい!
わかるやん、わかるやん、わかってたや〜ん!
この辺で上がりそうやな、
料金上がりそうやなってわかりそうなもんやん、
何年タクシー走らせとんねん、
オレがなんで「この辺で」って言うたかっていうたら、

そろそろ料金メーター上がりそうやなって思たからじゃ!

そろそろ料金メーター上がりそうやなって思たから止めてって言うてん、
オマエ1日中ちゃうんかい!
1日中乗ってんねやろ、
絶対わかるやん、
絶対にわかるやん!
絶対に(そろそろ料金メーター上がるな)ってわかってたやん!
エエわ、80円ですか、払いますよ、
オマエはこの80円をどないすんねん!
大人がやぞ、オマエみたいなオッサンが、この80円で何ができんねん!
あ〜、許されへん!
絶対おかしい!
「止めて」って言うてから上がった料金も払わないかんかね!


細かい事言うやつ、イチバン嫌いやわ。