第八十一話 気まずかった話

そや、友達と久々に会うて気まずかった話しましょかね。

中学校の同級生でケンガクってやつがいてまして、
二十歳くらいの時にたまたまバイトが一緒になって、
五年ぶりくらいの再会を果たしたことがあったんです。
まぁ、ひとしきり盛り上がりますやん、
(そういえばケンガク犬飼うとったなぁ・・・)思い出しまして、
「そういえばオマエんち犬飼ってたよな、名前なんやったけ?」
聞いたんですわ。
「ん・・・?ゲンキやで・・・」
そういえばなんか歯切れ悪かったんすわ、
「そやそや、ゲンキや!どうなん?元気なん?」

「死んだで・・・」

元気ちゃうかった!
うわっゲンキ、元気がなくなってた!
ゲンキやのに、死んでた!
こっれは気まずかったです。

ほんで後日譚なんですけども、
その後ケンガクの家ではウサギを飼うことになったんですって。
でもお父さんが最後まで反対していたんですって、
ケンガクのオトン曰く
「ウサギはあかん」
「誰が世話するんや」
「ゲンキが死んで悲しかったやないか」
「ウサギは淋しかったら死ぬんやぞ」
オトンずっと反対してたんやけども家族全員のウサギへの熱意はくつがえることなくウサギを飼うことになったんですって。
ほんでウサギがやってくる日、
家族会議が開かれたんですって。
議題はウサギの名前。
オトンの姿が朝から見えない。
まだ反対なんやな・・・まぁでも慣れたらかわいがるやろ、
ということでオトン不在のまま家族会議は終わって、
ウサギの名前は『クッキー』に決まったんですって。
名前は報告しないかんやろ、ということで、
家中探したんやけどオトン見つからへん。
おらんな〜おもてたら庭の方から何やら音が聞こえてくる。
みんなで庭に行くとなんとオトンがウサギ小屋作っとる!
そのウサギ小屋には大きな字で、

ぴょんぴょんの家って書いてあるがな・・・

オトン、名前はクッキーや〜