第九十三話 オッサンVSオッサン

電車でオッサン同士がケンカを始めた。

オッサンがオッサンの足を踏んで足を踏まれたオッサンが足を踏んだオッサンを踏まれた方の足で蹴った、っていう。
っていう経緯でしたね。
(文章を読み取る力のない人のために一応言うておくと、今のところ、登場人物二人ですからね。)
十三過ぎたあたりから始まって西宮北口までまぁまぁ長い間ケンカしてましたね。

「二回目やぞ!」

から始まったんすわ、
オッサンが「二回目やぞ!」言うてオッサンをボッコーン蹴ったんすわ、
どうやら二回踏まれたらしいっすわ、
そこから鬼のような言い合いですわ、
「なんや!なんで蹴った!」
「オマエがわしの足を踏んだからやないか!だから蹴ったんや!」
「ほな、ナニかい、オマエは脇腹を刺されたら脇腹を刺し返すんかい!」
(なぜ脇腹?)

「そんなもんそんなとこ刺されたら・・・刺し返す元気ないんちゃうんかい!」

いやいや、知らんがな!
確かにないやろうけど、そういうことを言うてるんちゃうやん、

「っていうか足踏まれたんやったら踏み返したらいいんちゃうんかい!蹴るんはやりすぎちゃうんかい!」

確かに!
正論!(正論なんか?)
もうね、ヒートアップですよ、
「一回目ガマンできたんやったら二回目もガマンできるんちゃうんかい!」
「ガマンできるかできひんかはオレが決めることちゃうんかい!」
「そんなもん一回目のときに口で言うたらよかったんちゃうんかい!」
「だからそこはガマンできたって言うたんちゃうんかい!」
「だいたい大層やねん!そんなマジックテープでとめるタイプの靴踏まれてナニをそんなに怒ることがあるねん!」

「・・・マジックテープの下は靴ひもがあるタイプちゃうんかい!」

知らん、知らん!
知らんがな!
どーでもエエ、
それはどーでもエエぞ!
オッサンの靴のマジックテープの下の靴ひもとかホンマにどーでもエエぞ!

「あかん、もうあかん・・・!おもて出ろ!」

「電車走ってるんちゃうんかい!」

おもて出いてオマエ・・・電車はしってるんちゃうんかい!
勝ち〜、
足踏まれた方のオッサンの勝ち〜