第九十七話 メガネバンド

ボクのメガネは安物である。
であるからして、スグにネジが緩くなってしまう。
その度、メガネバンドがほしーなーと思っていたのだけど、
こないだとうとうメガネ屋さんに行ってみた。
ついでに言っておくとメガネバンドとは頭の後ろでカチっとめがねを固定するメガネグッズである。
ヤクルトの古田がつけていたソレである。

(メガネ屋にて)
ボク「メガネバンドありますか?」

店員「・・・・?」

あれ・・・?「は?メガネバンド?」って顔されてる。なんでや、なんでや、あれメガネバンドで全国共通やないのンか?メガネバンドて全国区やないのンか?
それともないんかな・・・。

ボク「古田のつけてるや・・・・」

店員「頭の後ろでカチっとめがねを固定するタイプのやつですね?」

わかってんのかい!

そうだ、そうだとも、
頭の後ろでカチっとめがねを固定するタイプのやつだとも!
わかってんのかい、
わかってんのやったらサっと持ってこんかい、
不安になって「古田のつけてるやつ」とか言うてもうたやんけ!
古田新太の方ちゃうぞ。
もちろんヤクルトのや!
そう、『嫁は中井美穂、中山と中井、一文字違いでえらい違い』でおなじみの古田や。
大学4年の段階でドラフト指名が確実と思われていたが、眼鏡を着用していることが捕手として敬遠され、結局どこからも指名されないという屈辱を味わった古田や!
いるか?古田の説明、
いらんやろ!古田の説明!
古田のことはどうでもエエねん!
古田はエエからさっさとメガネバンド持ってこんかい!

店員「申し訳ございません、スポーツバンドの方ですがウチでは取り扱ってございません。」

ないんかい!

ほんでスポーツバンドってゆうんか、
・・・ってゆうか、スポーツバンドってなんじゃ!
ほな何か?
スポーツやってるやつしかメガネを頭の後ろでカチっと固定させたらあかんのかい!
メガネずれたら困るンがスポーツやってるヤツだけやおもたら大きな間違いやぞ!
梱包中、立ちながら下を向きっぱなしやからメガネがずれてくるんや、
その都度メガネを所定の位置に直してるんや、
その仕草から『博士』ってあだ名がついたらどうすんねん!
その都度言い訳スンのがめんどくさいから返事し続けて博士ってあだ名が定着したら悲しい気持ちになるんちゃうんかい!
職場でだけならまだしも休みの日に友だちと町を歩いていてたまたま職場の人に会うてもて、
「博士」って呼ばれてんの友だちに聞かれて、
ライブハウスとかで呼ばれ出したら最悪なんちゃうんか!
でもメガネを頭の後ろでカチっと固定させたばっかりに『古田』ってゆうあだ名がついたらもっとイヤやな・・・
けど今日びの若い娘は古田なんて知らんとふんでメガネバンド購入に踏み切ったんとちゃうんかい!

店員「小さなお子様とかよく使ってられますよね(含み笑い)」

いらんコト言わんでもエエねん!
だから、古田もじゃ!
古田もつけとるわ!

(オッケイちゃうわ)