第九十九話 悲しい思い出

今年の年末に中学校の同窓会がある。
今からすごく楽しみにしているんやけど、
ボクには同窓会と聞くと悲しい思い出がある。

一昨年前くらいのある日小学校の頃の同級生のMさんと町でばったり再会した。
15年ぶりくらいの再会だ。
Mさんは神戸の震災で二ヶ月間だけコッチにきていた転校生やった。
一緒の教室にいたのは二ヶ月間だけやったけど、
一緒に泣いたり笑ったり密度の濃い二ヶ月間やった。
こんな思い出がある。
転校してきて2週間くらいしたある日、
なんの因果なのか朝会でMさんが神戸の震災のニュースを読むことになった。
壊れてしまった神戸の町を思い出してMさんは泣いた。
いつも明るく笑っていたMさんが初めて泣いた。
生まれ育った町が1日にして壊れてしまった同級生。
小学生のボクらには真っ赤に燃える神戸はテレビの中の世界やった。
そのテレビの中の世界からやってきた転校生。
Mさんにとっては全てがリアルやった。
ボクらはものすごいショックを受けた。
リアルをつきつけらえれてみんなが泣いた。
ボクも泣いた。
先生も泣いた。
そして二ヶ月後Mさんは元気に教室を去っていった。
明るく笑って教室を去っていった。

その二ヶ月間だけの同級生と町で再会した。
奇跡みたいなもんだ。
ホンマにホンマに嬉しかった。
15年ぶりに再会したMさんは小学5年生の笑顔のままやった。
そしてまた呑む約束をしてバイバイした。
とても楽しい夢のような時間だった。

が、気になることがあった。
ちょっと心にひっかかることがあった。
ちょっと心にひっかかる発言があった。
「二年前の同窓会、洋ちゃんきてなかったよね?」
って。
二年前の同窓会ね、
うんうんうん、二年前の同窓会・・・

呼ばれてへんがな!!

え??二年前同窓会あったの?
知らんよ、知らん!
え?洋ちゃん携帯変わってて呼ばれへんかったって言うてたよって?
いやいやいや!Mさん呼べてオレ呼ばれへんってことある?
いやいやいやいや!Mさん探せてオレ探されへんってことある?
Mさんの場合、空白の15年やろ、それは言い訳できひんやろ!
探せよ!
実家おったよ!
実家の電話番号かわってへんよ!
10何年・・・・いや、30年くらいかわってへんよ!

「二年前の同窓会、洋ちゃんきてなかったよね?」

だから、呼ばれてへんねん!
もうちょっと頑張ってほしかった。
もうちょっと探してみてほしかった、ボクのこと。
・・・悲しい過去だ。
今回は呼ばれて本当によかったと思っている。

同窓会には誘ってください。
(大事なことは太字で言います。)

このくらい強気で言いたい。
ボクも呼んでネ・・・。