第105話 星になったゴリラ

〜高円寺にて〜

原田茶飯事くんが美味しいビーガン料理(ベジタリアンのための料理)の店があるというので連れていってもらうことになった。
原田くんはもう先に行ってるとのことなので、
沢田ナオヤくんが途中まで迎えにきてくれた。

「わりかし分かりづらいとこにあるんですよね、あの路地を入ったとこですわ、ビーガンの料理の店、なんちゅう名前やったかな、レオタード・・・うん、レオ・タードですわ」

(なんか『の』が多いなぁ)と思いながら、
沢田くんに案内され、
件の路地を曲がるとそこにありました。
ビーガン料理のお店、

メノ・ウータが。

う〜ん、沢田くん、レオタードちゃうな〜、
レオタードやなかったな〜、
まぁ、話聞きながら(レオタードではないんやろな)とは思ってたんですが、
全然ちゃうかったな〜、
レオタード、メノウータ、メノウータ、レオタード。
うん、かすってもいいひんな、
バットも振らせてもらえへんかった感じやな、
ランナーおらんのに牽制球投げてもうたみたいな？
ボークやね、ボーク、
沢田、ボーク〜！

メノウータの細く急な階段を上がり扉を開けるといてましたね〜、
べろんべろんの原田茶飯事。
オシャレ女子に大人気の原田茶飯事がですよ、
ただのなで肩のオッサンになってましたね。
いつもより心なしかなで肩なってましたしね、
こんなべろんべろんの原田茶飯事見たんいつぶりですかね。

(五年くらい前の飲み会もひどかったな〜、松井家で飲み会したんですよ、原田くんべろんべろんですわ、ほんで翌日ゲロンゲロンになってまして。大丈夫？って聞いたら「きのうアカンもの食べたみたいで・・・」いやいやいや！うちにあるもんしか食うてへん！人聞きの悪い！いつもわしが食うてるもんや！ただの飲み過ぎや！しかし、これは余談です)

原田くん、トイレ行って出てきたら顔真っ青や、
視点も合うてないし、表情もない、
粘土で作った顔みたいになったある。

ビーガン料理食べて不健康になってる場合ちゃうで！

そうこうしてる間にゆりえブギーがやってきたんすわ、
もうこの時点でエエ予感なんてしてませんよ、
ゆりえがきて良かった事なんて一度たりともないですからね。
ゆりえが店に入って３分くらいですかね、
泣き声が聞こえるんですわ。
ゆりえや、ゆりえが泣いとんねん、
どないしてん、ホンマ嫌や、なにしよってん、おもて見たら、

ゆりえ、店のオブジェ壊しとんねん・・・

考えられへん、
何で座るねん、何でそこに座るねん！
イスと間違えて、店のオブジェに座っとんねん、
考えられへん、
オマエはどんだけゴリラやねん、
高円寺にきてどんだけゴリラやねん、上野に行け！
(上野には動物園あるからね)
いや、宇宙旅行いけ！
(モチロン帰ってこられへんタイプのね)
宇宙旅行に出かけてくれ、
そして、宇宙でエエ人見つけてくれ、
(腕や足の数は僕たちよりやや多いかもね)
ほんで狭いながらも愛しい我が家を作ったらエエねん、
ほんで地球のこともうは忘れてくれ、
オレらもオマエみたいなもんの事なんて二秒で忘れる自信あるわけやし、
ほんで何十年後かに夜空を見上げて、
ゴリラの星座を見つけて孫に言い聞かせるわ、
昔、星になったゴリラがおったことを、
日本政府の怒りにふれてNASAの力を借りて宇宙に放り出されたゴリラがおったことを。

続く(のか？)