第116話 東京ゴリラ

25日早朝。
東京は西荻窪、イワズミ宅にて起床。
我、シャワーを浴びる。
ユニットバスにてシャワー浴びたると声をかけてくるものあり。
すなわちそれ、ユリエブギーなり。
ブギー曰く、
「洋ちゃん、洋ちゃん、隣でオシッコしていいかな?」

エエわけないやろ!

あかんわ!
なんでエエと思ったんや!
オレ、これから大阪に帰って仕事なんや、
それでやな、気分も身体もさっぱりしよう思ってやな、
シャワーを浴びとんのや、
隣でオマエみたいなもんに小便されたら、
ものすご気分悪いわ!
なんで朝からユニットバスをフル稼働やねん!

「覗かへんから〜」

そうじゃなくて!

ちゃうねん、そうじゃなくて、
気分的な事やねん、
だいたいやで、オレが入る前に小便やったら先済ましとけよ、
イワズミくんにタオルとかドライヤーとか言うてたやん、
その間に小便しとけよ!
オレ、シャワー浴び出してからまだ2分と経ってへんがな、
絶対タオルとかドライヤーとかのときにオマエ小便したかったやん、
そして出来たやん!
外でせい、外で!

「ウンコじゃないから〜」

そうじゃなくて!

ハナシを聞け、この暴れメスゴリラ!
ウンコとかオシッコとかを言うてるんちゃうやん、
(いや、ウンコとかはホンマにありえへんねんけど)
オマエがオシッコしてる隣で何が悲しくてオレは身体を洗わないかんのや、
だいたいオマエはそんなことを言うてウンコをしかねへん!
あかんわ!外でやってこい、ボケ〜!

表,静かになりけり。
暴れメスゴリラ、観念しけり。
我、穏やかな気持ちに戻りシャワー浴びけり。
シャワー終わり、身体をふき表に出たり。
玄関に人の姿ありけり。
否、玄関に布をまといたる獣の姿ありけり。
すなわちそれ、暴れメスゴリラなり。
暴れメスゴリラ曰く、

「駐車場でオシッコしてきたわ〜」

のらゴリラやがな!

しちゃったよ、
ホントにしちゃったよ!
なんぼ程ゴリラやねん、
ゴリラやゴリラやおもてたけど、
まさかのらゴリラやったとは!
暴れ野良ゴリラやったとは!
東京まできて、何を野ションしとんねん、
本領発揮してる場合か!

麻酔銃で撃たれてしまえばよかったのに。
「ゴリラが駐車場でオシッコしてます」
っていう通報のもと麻酔銃で撃たれて、
目覚めた場所が故郷のタンザニアやったらみんなが幸せやのに。