第185話 空気洗浄機

東京渋谷のとあるライブハウスの楽屋。
今日はサヨナラバイバイズ始まって以来の大舞台の予感。
奇妙礼太郎トラベルスイング楽団のセカンドアルバムのレコ発ツアー初日である。
ボクたちサヨナラバイバイズは前座としてツアーに同行している。
開演1時間前。
楽屋にはボクとベースの上月クン。
ひと瓶300円のウィスキーでもってミーティング中。
議題はブルースリーとジャッキーチェンの関連性。
ボクも上月クンもブルースについてもジャッキーについてもよく知らない。
であるからして、答え合わせのできない不毛なミーティングだ。
そこに本日のスペシャルゲスト、サンデーカミデ氏がやってきた。
サンデーカミデ氏については説明不要であろう。
ワンダフルボーイズのフロントマンにして、
関西インディーズ音楽シーンの最重要キーマンである。


(キーマンやで〜)

大舞台を前にするボクらにハッパをかけてくれる。
ありがたい、パイセンだ。
心強いし、安心感を与えてくれ・・・

上月クン、なんでこのタイミングで空気洗浄機をフルパワーにすんの?

え?臭かった?
そんなことないよね?
サンデーくさないよね、
どちらかと言うといい匂いよね、
ホンマあかんで、上月クン、
そうゆうとこやで!
音楽のパイセンでもあり、人生のパイセンでもある、サンデーが楽屋に入ってきて12秒で空気洗浄機をフルパワーにせんといて!
ギスギスするわ!

空気洗浄機をフルにすることによって空気悪なったで!

楽屋の空気わるなったで、
そんなことあんねんな、
空気洗浄機をつけることによって空気悪なることってあるねんな!
あれやな、ブレスケア食べ過ぎて胃荒れて、口くさなるみたいな感じ?
アカンて、イヤやって、上月クンたのむって!


(えいッ!)

上月クンたのむって!