第193話 淡路島にて

花火が打ち上がった。
淡路島の空に。
淡路島の空に美しい花が咲いた夜。
夜空に咲く美しい花を見上げる時、
人は悲しみも憎しみも忘れ、ひとつになる。
誰の心にも、戦争も差別もない。
本当に感動的な夜だった。
ひとかけらの感傷を胸にボクらはローソンに立ち寄った。

そして、絡まれた。


(花火きれいだね)

ネイティブたちに絡まれた。
淡路島の若手たちに絡まれた。
甲殻類(というバンド)のカシワ(という人間)が一人のネイティブのゴミを蹴ったらしく、
ネイティブがひどくお怒りだ。

「オマエ、オレのゴミ蹴ったやろぅぅぅっつぁ!!」

甲殻類のカシワ(もう何がなんだかわからへん、甲殻類やのに鶏肉?)の足がネイティブのゴミに当たったらしい。
オレのゴミ。
じゃぁ、いいやん、ゴミやん、
イカバーのゴミやん。
「っつぁ!!」
いいぞ、ネイティブ。

「なにソってんだよぅぅぅっつぁ!!」

パーティの最年長エイゾウさんに矛先がむく。
「なにソってんだよう」
いいぞ、ネイティブ。(意味こそわかりませんが、おそらく「反り返る」「胸を張る」の意)
「っつあ!!」
いいぞ、ネイティブ。
スパイシーだ、ネイティブ。
玉ねぎばかりを食べて育ったスパイシーさ、感じます。

原因はスイカバーのゴミを蹴った蹴らないだったので、
ボクはあたりのゴミを片付けようと思い、
「ごめんなさいね〜」と言いながらゴミはゴミ箱へ。
よし、これで丸く収まるだろうと思っていると、

「オレの割り箸がないんだよぅぅぅぅっつぁ!!!」

ネイティブの長の割り箸が行方不明の模様。
あっ・・・さっきスイカバーのゴミと一緒に捨てちゃった・・・。
たはっ。

「UFO湯切りも済ませてんだよぅぅぅぅっつあ!!」

「UFOのびちまうだろうぅぅぅっつぁ!!」
ほんと、ごめんなさい。
捨てちゃったわ。たはっ。
そこに今回の旅のリーダー、キングブラザーズのケイゾウくんが登場。
ネイティブとエイゾウさんの間に入り話し合いに。


(カタカタカタカタカタ・・・・・)

さすがケイゾウくん、話をうまくまとめた模様。
ネイティブたちも散り散りに。
よかった、本当にこれで一安心。
やはり血気盛んなネイティブたちも我らがリーダーのカリスマ性には勝てなかったわけだ。
あの人数のネイティブたちを相手に話し合いでその場を切り抜けたリーダーには脱帽です。
ケイゾウくん、ホンマにありが・・・

「エイゾウさん、今から宿に帰って車とってきましょう、ヤツらを全員ひき殺してやりましょう!」

え・・・?

「全員ひき殺してやりましょう!」

八つ裂きブルース!!!!!

PS:ケイゾウくんは普段はとても温厚な紳士です。
翌日の民宿の朝ごはんが焼き鮭と鮭のふりかけやったんですが、
ニコニコと美味しそうに食べておられました。
ちなみにボクはふりかけの方は残しました。