第197話 魚庭(なにわ)

魚庭(なにわ)がすごい。
蒲生4丁目にある昭和16年創業の老舗立呑屋なのだが、
何がすごいってマグロがすごい。
マグロのメニューだけで20を越えてしまう。
脳天のたたき、胃袋、頬にくなど、
ここでしか食べられないものが280円〜480円の安価で提供される。
前回、19時頃に訪れた時はマグロメニューが全て売りきれてしまっていたので、
今回はバイトを15時までにして訪問を決意。
8月某日。
この日はかねてより魚庭のファンであり、
魚庭を僕に教えてくれた張本人、
ニドミ(というカフェバー)のシェフのアロアちゃんと、
ただいま絶賛週休7日制の男、たつ兄。(誘いやす過ぎるゾ!)
そして、ザ・たこさん(というバンド)の歌手の安藤さんを誘い再訪。
初めて来店するたつ兄と蒲生4の交差点で待ち合わせ。
約束の時間になってもたつ兄が来ないので電話をしてみると、

「あ、ごめん、空があまりにも青かったものやから・・・」

黙れ、小僧。

とりあえず場所だけメールをして、魚庭に向かう。
生ビールを飲んでいると、汗だくのたつ兄が到着。

「空がな、あまりにも青かってん」

黙れ、小僧。

聞いたわ、それは先刻聞いたわ!
腹立つわ〜、こいつ腹立つわ〜、
とりあえずマグロ赤身(280円)を注文し凌いでいると、
アロアちゃんが到着。
マグロカツ、中とろ、頬にく等を注文。
そうこうしているうちに安藤さんがやってきた。
安藤さんの様子がおかしい。
いや、安藤さんの様子はいつだっておかしいのだが、
今日のはそうゆう安藤さんの性質の話ではない。
安藤さんがマグロを食べようとしないのだ。
この絶品のマグロを。
「どうしたんですか、安藤さん、マグロむっちゃ旨いっすよ」

「いや、オレ、魚あかんねん」


(魚があかんねん〜♪)

えっ・・・?

魚の庭で『なにわ』。
ここ魚庭に、魚嫌いのオッサンありき。
たこさんやのに魚嫌いて。

安藤八主博、齢四十一。
彼にはひとつ上の彼女がいる。
桜川春子、その人だ。


(胸には53「ゴミ」のロゴ。自己申告。)

「春子さん、よかったら、ボクの家に遊びにこないか?」

春子さんはかたくなに拒み続けているらしい。
安藤さんは実家暮らし。
お兄さんとお母さんと三人で生活をしている。
確かにイヤだ、行きたくない。
なんせ、安藤さんのお兄さんだ、相当のオッサンだろう。
そして、そのオカンだ、そんなもの大層なババァだ。
そこにこれまたクソババァの桜川春子がお邪魔した日には目も当てられない。
なんて心踊らない、空間なんだ。
どうせ安藤さんの家みたいなもの、
ボロくて狭くてやや臭い、そんな家だ。
そこにババァとババァとオッサンとオッサン。
あわせて200歳。

参っちまうぜ〜!


(参っちまうぜ)

※すいません、ものすご脱線してしまいました。
その後の展開は途中参加のクリトリックリス、スギムさんのブログに詳しいのでそちらをどうぞ。・
『下ネタのナポレオン』http://star.ap.teacup.com/clitorick/