第218話 トンボくんのワイルドピッチ

リハーサルが終わり、ボクらは立ち飲み屋にいた。
いつだってそうだ。
どこだってそうだ。
ライブ前は立ち飲み屋にいる。
その日もやっぱりそうだった。
ティッシュ(というバンド)のトンボ(という人間)とはもう10年の付き合いになるだろうか。
ハタチで出会ったトンボも、もう30歳。
10年人間やってると、いろんなことがある。
もう会えなくなってしまった友人なんかもいたりする。
(もういないんだけど・・・)
数年前、共通の友人のTがガンになった。
キンタマのガンだった。
しかし、彼は強靭な生命力で病気に打ち勝った。
その当時を振り返りトンボが語りだした。


いや、ホンマに心配したよな、
病気が病気なわけやしさっ、
いやっ、でもホント良かったよな!
人間、キンタマひとつなくなっても問題なくやっていけんねんな!
ここからがまたスゴい話やねんけどな、
あいつさ、もともとスゴい直毛やったやんか、
薬の副作用かなんかで髪の毛抜けるやん、
ほんでな、また生えてくるやんか、
そのまた生えてきた毛がな、ものすごチリッチリやってん、
ビックリせえへん?

あれな、完全にキンタマと間違えて生えてきてんねんで。

すごいな。

なかなかのデリケートゾーンやで、
どうしてどうして、なかなかのデリケートゾーンをよういじったな!
半笑いでフルスイングやん、
どうゆうことやねん、
キンタマと間違えて生えてくるて、
ほな今Tの頭に生えてるのはちん毛なん?
「あったあった」か?
もう、ホンマやめて、
怒られんのイヤやねん、オレ。