第238話 けつむら

ウワサのけつむらさん。
本名は「きむらこうすけ」という。
漢字で書くとこうだ。
『木村綱介』
こうすけ君のアホのお父さん、ブスのお母さん、こうすけ君お二人の願いどおり、つなの様にスクスク育っていますよ☆)
元々ペヨーテ(というボクが火曜日に働いているバー)のお客さんであったところ、
ボクが昼のバイトを紹介して一緒に働くことになった。
であるからして、基本的に夜はペヨーテで飲んでらっしゃる。
今日だってそうだ。

アロアちゃんはニドミ(というカフェバー)の料理人。
基本的にお酒が好きなガールなので、ペヨーテにもたまに飲みに来てくれる。
今日だってそうだ。

アロアちゃんとけつむらさんの目が合った。
あれ?なんか知ってるかも。
声をかけたのはアロアちゃんだった。
「名前、聞いてもいいですか?もしかして・・・」

けつむらさんは3ヶ月ほど前に大阪にやってきたばかり。
しかし毎日外で飲んでるだけあってもう顔と名前が売れてきたのだろう。
さすがである。
けつむらさんもまんざらではない。

こうすけです」

「あっ、下じゃなくて・・・」

おっと、これは恥ずかしい!

そうじゃなくて、
下の名前とか知らないし、聞いてないし、
ってゆうか普通名前聞かれて下の名前
言う?
こうすけです。」

いやいや、ホストやないねん!
ホストやとしても大したことないホストやわ、
けつむらみたいなもん。
ナンバー8くらいやわ、
13人中の、ナンバー8くらい。
真ん中よりちょっと下あたりやわ、基本的に。
下の5人に嫌われてそうやわ〜、なんとなくやけど、
でも上の人にはかわいがられてるねん、
「けつむら、気効くなぁ」言われて。
秀吉か!
そうゆうとこあるわ、
そうして、また下からは嫌われていく・・・

「村上・・・?」

アロアちゃん!木村や!
こいつ、木村や!
人違いやった!
ほんで呼び捨てて!
村上やったとしてもあんま知らん人に呼び捨てはよくないし、
さらに言うと人違いやし、村上ちゃうし、木村やし!

オマエたち、二人で殴りあいなさい。最後まで立ってた方と先生とで、決闘だ。