第280話 沢田ナオヤ

沢田ナオヤ。
彼と出会ったのは10年前、
今はなき梅田東通商店街の正宗屋(という飲み屋)であった。
暑い夏だった。
少し遅れてやってきた彼は息を切らせながら挨拶をはじめた。

鳥の言葉で。


(はじめまして)

「はじめま・・〇▽△□〇×□△モゴモゴモゴモゴ・・」(はじめまして、沢田ナオヤです。)

彼の発した20語足らずの言葉たちはボクの脳ミソに届く前に羽ばたいていった。
正宗屋のしみだらけの天井に。
そして、ボクたちは地下のライブハウスに吸い込まれていった。
そこで見たステージは今でも忘れることができません。
リズム、言葉、メロディ、全てが初体験でした。
それ以来10年間、沢田ナオヤくんのライブを見続けています。
大ファンです。


(ありがとね〜)

ある時期沢田ナオヤの表記が、
澤田ナオヤになったり沢田ナオヤになったりしてたんです。
ほんで、ボク聞いた事があるんです。
「さわだくんて、沢田なん?それとも澤田?」
彼はいいました。
「いや〜、正直ドッチでもいいんすよね〜、でもドッチなんすかね?ドッチも正解や思うんすけどね〜、あれ?ドッチなんかな・・・あっ、家の表札がホンマですよね!家の表札の表記が正解ですわ!ちょっと待ってくださいね・・・あっ・・・


SAWADAですわ・・・

がっくし(がっかりの三段活用です。がっかり、がっくり、がっくし。)と肩を落とした彼は小さく呟いた。
「ははっ・・SAWADAですわ・・・」



(ははっ)

5月15日 梅田ハードレイン
『ピーポーアーストレンジ』
沢田ナオヤ(東京)/松井くんと上田くんとサヨナラバイバイズ/スーパーベストオブヤング/メシアと人人/テロテロ
18:30 / 19:00  ¥1800 / ¥2300

今日なんだかんな!待ってんだかんな!