第285話 新人王 其の三

なんでだろう。
なんでなんだろう。

なんでオレってば、緒方(仮名)になつかれてんだろう。

我がジョブ場の新人、緒方(仮名)22歳、
とにかく様子のおかしいやつだ。
昨日は、ダンボールの組み立て方とテープの切り方を教えた。
緒方say(緒方は言った)
「・・・おにいさん、賢いですね〜」

おれが賢いんじゃない、オマエがアホ過ぎるんや。

なんやねん、ダンボールの組み立て方って、
なんでやねん、テープの切り方って、
(とにかくおにいさんやめろ〜)
そんな緒方になんだかなつかれている気がする。
緒方say(緒方は言った)

「おにいさんの家に遊びにいっていいですか?」


(おにいさんの家に)

・・・なんで?

なんで?オレの家に?オマエが?
(厳密にはオレの家じゃないけど、ってゆうかおにいさんやめてくれ〜)
緒方say(緒方は言った)
「いや、どんな構造の家にすんでるのかなって」
普通や、普通!
至って普通の家や、
だいたい日本の家にそんな大きな構造の違いなどはないから安心してくれ、
暖炉もなければ、
南米っぽい置物とかもない普通の3LDKや。
緒方say(緒方は言った)

「じゃぁ、ボクの家に来ませんか?」


(オマエの家に・・・?)

・・・なんで?

なんで?オマエの家に?オレが?
「じゃぁ」ってなんやねん、「じゃぁ」って、
緒方say(緒方は言った)

「実家なんですよ?」


(実家なの?)

なおさら嫌やわ!

嫌やわ!
気まずいわ!
実家気まずいわ!
いきなり実家誘うなや!
ランチとかはさめや!
段階踏めや!
いや、うそ、踏むな!
段階とか踏まんでエエから!
はさむな、
ランチとかはさむな!
仲良くなろうとすんな!
緒方say(緒方は言った)

「おにいさん、ボクのこと友達だと思ってくれてるんですか?」


(後輩でしょうがぁっっ!!)

後輩かな!

後輩と思ってるかな!
とびっきりアホの後輩やと思ってるかな!
そして(SOSHITE)、だから(DAKARA)、おにいさんやめろや〜!
そして(SOSHITE)・・・

・・・歯しまえ!





※住んでる部屋の間取りに誇張があったことをここで深くお詫びします。