第292話 そして王将へ

とある木曜日。
留守番電話が残されていた。
「下山のマヒトやで、松井くん遊ぼうやぁ」
下山(というバンド)のマヒトだった。
珍しいなぁ、と思いつつ電話をかけ直す。
「どないしたん?今どこなん?」

「千日前で日光浴してるねん」

19時半である。
すっかり夜なのに?
日光を浴びている?
とりあえず行ってみることにした。
指定された場所に行くとちあきちゃん(という絵描き)とマヒトが地べたに座っていた。
とりあえず移動しよう、ここではないどこかへ。
中華料理を食べたい気分であったので、
ボクはとっておきの中華料理屋さんへと案内する。
王将である。(OH!SHO!)
移動中にちあきちゃんの携帯電話に着信あり。
空きっ腹に酒(というバンド)のユキテロであった。
あらかじめ誘っていた彼と連絡が取れたようだ。

「8円しかないねんけど、オレも行ってエエかな」

・・・8円?

松井の財布には4000円くらいしかない。
ユキテロのぶんギリギリ出せるかなぁ・・・と思案しているとマヒトが口を開いた。
「いいよ、オレが貸すよ」
流石、今をときめく下山!
頼れるなぁ、
ちなみにナンボ貸せるん?
二軒目のこともあるし、ボクにも貸してくれへん?

「12円貸せるで!」

・・・12円?

え?12円しかないのに誘ってきたん?
よう誘ったな!
二人会わせて20円か、
完全に戦力外やがな、

「消費税ぶんくらいにはなるやろ」


(ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・)

王将をなめるな!

王将四人で行って400円(税込420)で帰れると思うな!
春巻しか食べられへん!
しかも王将の春巻は3本入りや、
一人が悲しい想いをしなあかん、
そしてオレは悲しい想いをするつもりはないぞ、
譲るつもりは一切ない!
そうこうしているとちあきちゃんがコンビニで金をおろしてきた。

コンビニで7万円おろしてきた。

王将やで!

ナンボ食う気や!
王将行ったことあるやんな!
慎重になりすぎや!
誰か〜!賢い人〜!
賢い人はおらんのか〜!

※結局ちあきちゃんから8000円借りて飲み散らかしました。
翌日、二日酔い過ぎて立ってられなくてバイトから強制送還を余儀なくされました。

金ないやつがデザート食べんな!