第294話 とある日曜日

とある日曜日、とある映像作品の撮影。
オファーをいただいたのは2週間ほど前だろうか。
オファーされた役は、

壺売りのコジキ役。

これは大変ですわ。
役づくりが至極大変。
松井とコジキなんてホンマ対極ですからね。
チャーハンとピラフくらいの位置におりますからね。


(これはチャーハン。うまそうやろ、わいが作ったんや)


(こっちがピラフ。うまそうやな、誰が作ったんや)

・・・そっくりやがな。

ほぼ一緒やん、
チャーハンとピラフ。
炒めるのか炊き込むのか、
グリーンピースなのか、グリーンピースじゃないのか、
ちゃうやん、間違えたやん、
いや、しかしホンマに松井をコジキ役に抜擢なんて、
すごいおもいきったなって思いますよね、
考えに考え抜いた感ありますよ、
一周半以上してますもん、
この配役はなんですかね、
何に例えられましょうや、
そうですね、
大塩平八郎の一生を柔道のやわらちゃんが演じるくらいのミスマッチ・・・


(大塩を)


(谷が)

そっくしじゃねぇか!

大塩平八郎とやわらちゃん、顔面一緒やん!
あの人、漫画YAWARAのやわらちゃん由来でやわらちゃんって呼ばれてるんやけども、
全然似てへんがな、
よう見んでも全然似てへん、
それよりも大塩平八郎の乱でお馴染みの大塩平八郎にそっくりやがな!
やわらちゃんっていうよりはへいはっちゃん(平八ちゃん)、
もしくはへいはっつぁん(平八つぁん)の方がしっくりくるねん、


(一本っっ!!)

ちゃうやん、
松井とコジキやで、対極やんって話してんねん、
大塩も谷もどっかいけよ!
まぁ、どんな難しい役がきたとて、
ベストを尽くすのが役者です、
コジキ役でもなんでも、やってみせよやないですか!
ただ、衣装とかどうするんかなぁと思てたんです、
そっち方面の連絡が一切なかったんです、
まぁ、用意されてるやつを着たらエエかとたかをくくっておったんです、
ほな、撮影前日にラインで連絡がきまして。

「松井は、いつも通りのコジキの格好してきてくれたらいいから!PVやからってオシャレしてきたらあかんで!いつも通りで。。いつものコジキで。」


(いつものコジキ)

んな、アホな。

ははっ、んな、アホな。
『いつものコジキ』て、んな、アホな。
その言い方やとまるでオレが普段からコジキみたいになってますよ。
この人あんまし日本語が上手じゃないみたい。
いいんですか?
ほな、いつもの格好でいきますよ?
設定がムチャクチャになってしまいますよ?
それでいいんですね?
どうなっても知りませんよ!



・・・誰?この汚い人・・・。