第308話 夏にタッチする方法  番外編『赤地蔵』

徳島の民間伝承として古(いにしえ)より伝わる妖怪『赤地蔵』。
我々の目の前にその姿を現したのは、徳島最終日であった。
村の古老より兼ねてより聞いていたものと寸分違わぬその姿に我々の体はかたくなった。
徳島で生まれ育った同行人もその姿を見るのは初めてである。
海辺で暮らす赤地蔵が陽のあるうちに姿を現すのは珍しいことらしい。
赤地蔵が写真にその姿を残すのは初めてのことである。








(ん?)





この写真からわかるとおり顔のとても大きな妖怪である。
その身体の半分が顔である。
残りの四分の三を胴体が占めているというのも大きな特徴である。
足が極端に短い妖怪である。



















機嫌のいい時は上の写真のように屈伸運動を繰り返す。
とても人懐っこい性格である。
人間語は理解するが喋ることができず、
「トゥナイっ!」
という鳴き声でコミュニケーションをはかってくる。
が、その姿かたちゆえに迫害されてきた歴史をもつ。











普段、悪さはほとんどしないが、
その姿かたちゆえに忌み嫌われている。
上の写真のように跳ねながら追いかけてくるのも親愛の表現である。
らしいが、やはりその気持ち悪さゆえにやはり忌み嫌われている。
赤地蔵を見かけたら親指を隠すのがこの付近の風習である。









近年ではサーフィンをする若者に憑りついては袋叩きにあっている。
という報告を聞く。

阿波国風土記より)












トゥナイっっ!!!