第324話 もっとこいだぜ

公〇食堂(という食堂)でソロライブをした。
キチュウさんが主催のイベントである。
キチュウさんの身体は赤くて、
全体的に短めの筒状をしているので、
単1電池に似ている。
しかしこれは余談である。


(もっとこいよ〜)

ボクは思うところがあって、
2013年は毎月1本ソロライブを入れるようにしていた。
お陰さまで11月も12月もソロライブを入れられたので、
2013年の初心は貫徹できそうである。

かねがね思っていた。
ひとりでお客さんの前に立ち、
ひとりで歌をうたい、
ひとりでステージを降りる、彼らはすごい。
そして、関西は素晴らしいソロミュージシャンの宝庫であると。
そして、その関西の弾き語りシーンのリーダー的存在がキチュウさんである。
キチュウさんの身体は赤くて、
全体的に短めの筒状をしているので、
単1電池に似ている。
しかしこれもまた、余談である。


(もっとこいよ〜)

この日の出演者はみな本職のバンドをやっていて、
キチュウさんの召集に応じて、
ひとりステージに上がる、といった形であった。
一同気負っていた。
キチュウさんにソロステージを見てもらえる光栄と緊張。
今回はその重圧がよい方向に転がったように思える。
みな、素晴らしいステージを披露していた。

そして、大トリのキチュウさんの登場である。
会場が沸く。
キチュウさんの身体は赤くて、
全体的に短めの筒状をしているので、単1電池に似ている。
しかしこれもまた余談である。


(もっとこいだぜ〜)

熱狂と興奮のステージが始まった。
やはり違う、
キチュウさんがステージに上がるとその場の雰囲気は変わる。
お客もまた変わる。
手拍子をするもの、足を踏み鳴らすもの、友達とのお喋りに夢中のもの、眠るもの、漫画を読み出すもの、
そして、

・・・ゲームをするもの。




人がライブをしているときに背中を向けてゲームをしてはいけません。