第327話  訪問者

ここは玉造、ペヨーテ(というバー)。
老いも若きも、男が女が、酒を求めてやってくる。
そう今日だって。
時計は21時を少しまわったところだろうか。
その男はやってきた。

「おう、ようちゅけ、きょうびゃちじぇのんじぇちゃんや」

訳:おう、洋介、京橋でのんでいたんや。


(大変なことになってる人)

兄、圭太郎であった。
なんでも非番の職場の人と昼から京橋で飲んでいたらしい。
そして職場のみなさんは帰って,
自分はひとり、まだうろついていたらしい。
「同期のやつ呼ぼうかな」

(ここからは同時翻訳でお送りします)

「いや、同期っていうか、別店舗やけど、一緒にアルバイトで入って一緒に社員試験受けて、一緒に研修受けた人やねんけどな。」


(オレとオマエは同期の桜)

同期やな。

うん、同期やわ。
その人、すっごい同期。
「研修で、すごい気合ってさ〜、奇妙くんのファンやねんて、こないだのワンマンも行ってたらしいわ、オマエもいっとったんちゃうん?」
そうなんや、職場で音楽の趣味とか合う人おったらいいよね。
「ただな・・・」
なんやねん、どうしたん?

「会うん、二回目やねん。」


(2・・・2回目なのか?)

知らねえ人じゃねぇか!

研修で一緒になっただけの人じゃねぇか!
会うの二回目っていうか、まだ一回しか会ったことがねぇ方じゃねぇか!
大丈夫なのか?


「いや、でも研修で一緒に生活を・・・・してないんやけど。」


してねえんじゃねえか!


「キャンプなんかも・・・してないんやけど」


してねえんじゃねえか!


あの某有洋服屋さんの研修だろ?
キャンプしねえだろう、
ボーイスカウトじゃねえんだ。
それでどこで研修だったんだ?
場所を教えてくれよ。


「軽井沢・・・じゃないんやけど」


軽井沢じゃねえだろうさ!


避暑地じゃねぇか!
芸能人の方々や財閥の方々がテニスとかすんだろ、
知らねえけど!


「柳谷・・・」


うちの墓のある谷じゃねぇか!



なんでうちの墓のあるとこで某有名洋服屋さんの皆さんが研修すんだ、バカたれ!
なんかすごいハッキリしないな。
大丈夫なのか?

「レクレレーションですごい盛り上がってん」


(こうゆうやつだよな)

うん、なんだか『レ』が多いな。

そしてさ、
なにで盛り上がったとかじゃなくてさ。
会話をしようぜ、会話をさ。
「社員とアルバイトでは給料も全然違うしさ・・・」
いや、だから会話をさ、会話をしy・・・

「社員とアルバイトではコレの方が全然違うしさ」


(コレの方が)

なんだ?キツネさんがどうかしたのか?






これじゃなくて・・・



コレ!





ここは玉造、ペヨーテ(というバー)。
老いも若きも、男が女が、酒を求めてやってくる。
そう今日だって。