第332話 上田太一の手紙

26年前のオレへ。



よう、太一、元気か?
元気だろうな、
へへっ、
なんせ、13歳のあの冬、オマエは飛びっきりの恋をしていたもんな。
2つ上の美保センパイ。
そう、テニス部のマドンナだっけな。
へへっ、
そのあとの事は……でも、気を落とすな。
20年後オマエは最高のオンナと出会うんだからな。
太陽の塔の下でさ。
そして、初めての……。
へへっ、
よそう、こんな話はよっ

太一、ギター弾いてっか?
だよな、わかってる。
へへっ、
オマエは26年後、最高のギタリストさ。
そして、26年後の12月7日にとても大事なギグをやる羽目になる。
へへっ、
そうさ、へへっ、今日、2013年12月7日、オレは26年前のオレ、すなわちオマエに手紙を書いている。
へへっ、
オマエがロックンロールギタリストになるって決めた朝にむけてさ。
オレはなったんだ、ロックンロールギタリストに。
オマエはなったんだぜ、ロックンロールギタリストにさ。
へへっ、
何がほしい?
他に何がいるって言うんだい?
太一、あとは、飛ぶだけだろ……?

2013年12月7日 ロックンロールギタリスト 上田太一より。


PS:お兄さんは今日も同じ服をきています。





(1987年元旦)



(2013年冬のある日)


へへっ