第３３４話　ハッピーバースデイ　トゥー　キャンディ

はじまりは一通のメールであった。

「初めまして！田中邦彦の彼女のかりんです。」

冒頭の一文を読み、わたしは思った。
いきなり迷惑メールか・・・。
（紛失中の携帯電話を買い替えた、一通目のメールだった。）
迷惑メールか・・・とホルダーを閉じようとしたその時、
二行目の文章が目に入った。

「洋介君のことはキャンディからよく話に聞いています。」

キャンディ、友人だ。
某大学で心理学の講師をしている。
乙女のような通称を持つおとこだが、
髪型は昔の江口洋介、服装は昔の沢田研二、顔面は今の志村けん。
といった、とっても残念な姿かたちをしている。
そのキャンディの彼女からのメールであった。
内容を要約すると、

「１２月１６日がキャンディの誕生日なんですが、キャンディに内緒で友達の写真とメッセージを集めています。フェイスカードを作りたいんです。そこで、洋介くんに協力してもらいたくてメールしました。洋介くんのまわりのキャンディのお友達の写真とメッセージを集めてほしいんです。」

といった内容の、迷惑メールでした。

と、こういった経緯で写真とメッセージをあつめることになったんです。
思いつく人で近日中に会えない人には、
「キャンディへの誕生日メッセージください」
と、メールでメッセージを集めたんですが、
何人かレスポンスがない人がいてたんです。
まぁ、まだ日にちあるしな・・・とほっておいたんですが、
ある日キャンディの彼女のかりんちゃんから、驚愕のメールが届いたんです。

「昨日、キャンディにお誕生日おめでとうっていうメッセージが直接届きました・・・二件・・・」

おいおいおいおい！
誰だよ、直接メールしちゃったバカ野郎は！
なんでそうなっちゃうんだ、バカたれ！
「え！！まじですか？？ちなみにそのバカ野郎たちの名前ってわかりますか？」

「フンさんて方と、ひろみさんって方です。」

(オレかい？)