第341話 親孝行

三連休初日、朝起きるとキチュウさん(というオッサン)がいた。



(ん・・・?)

ボクはというと連休の初日が京都でソロライブやったので、
金曜日のうちに実家に帰っていたのだ。
キチュウさんは、金曜日京都でライブだったらしく、
ふんさん(というオトン)と一緒に松井家に帰ってきたらしい。

「寒くて、全然寝れへんかったわ〜〜」


(なんだか、誰かに似ている)

文句かい。

朝ごはんを食べながらサクッと人ん家の文句を言う。
さすがだ。
今日のライブはキチュウさんも出演するので、
時間まで何をしようかと相談した。
スーパー銭湯に行きたい」とキチュウさん。
ボクも大賛成だ。
色々調べたが、浴場が休みやったり、
サウナがなかったり、やや高かったり・・・
結果、桂(というCITY)の仁左衛門の湯がいいんじゃないか、つって。
方向もライブ会場だな、つって。
だけど、アクセスがアレだな、つって。
どう考えてもクルマが必要だよな、つって。
どうしよう・・・と考えていると、
キチュウさんSAY(キチュウさんは言った)

「松井くん、親孝行したら?」

「松井くん、日頃親孝行できてないんちゃう?ふんさんも連れて行ったあげようや、温泉。」
キチュウさんの優しさに感謝。
早速、日頃の感謝を込めて部屋で寝ているお父さんを起こしに行った。

「オトン、車出して。」

どういうことやねん?と父。
ボクは一切合切を説明した。
スーパー銭湯に行きたいこと、
それにはクルマが必要なこと、
スーパー銭湯のあとはライブなのでライブ会場に直接行きたいこと、
どこかで、ビールを挟みたいこと、

親孝行がしたいこと。


(親孝行がしたいんです)


ふんさんが何か言いかける。
「よ、洋介、てめえ・・・」
嬉しいのだろう、
ボクも照れくさい。
「よ、洋介、てめえ、親をなんだと・・・」

「20分で用意して」



(ここ仁左衛門の湯)




(大浴場はとても広く)



(泡風呂も数種類あります)




(露天風呂も広くて最高☆)



車が走る。
ボク(孝行息子)とキチュウさん(顔の赤いオッサン)を乗せて。
運転席の父に向かいキチュウさんSAY(キチュウさんは言った)

「いや〜、いい湯でしたね〜、すみません、小銭がなくて、風呂代出せなくて、とりあえずこのあとどうしましょう?」

温泉をじっくり堪能して、まだ時計はまだ昼の2時。
ライブ会場である公○食堂が開くまで三時間以上時間がある。
ボクにはかねてより京都にきたら行きたい場所があった。
お腹も減っている。

「ふんさん、庶民っていう立呑屋知ってる?行きたいんやけど」

ふんさんSAY(ふんさんは言った)。

「あそこはエエ店やぞ〜、よし!行こ!・・・っていうか、おれ車やないか・・・どうしたらエエんや・・・」

車が庶民(という立呑屋)に到着した。
ボクとキチュウさんが車から降りた。
小さくなっていく、ふんさんの車を見送りながらキチュウさんが呟く。


「よかったな、親孝行できて・・・」



(洋介、今日は偉かったぞ☆)


ボクも感慨無量だ。



(キチュウさん、ありがとうございます)


「ありがとうございます、なんだかボクの親孝行に付き合わせちゃって」




※親孝行余話
庶民で僕らが飲んでいる間、ふんさんにはギターを持って待機しといてもらって、飲み終わったら公○食堂まで車で行ってもらおうっていう案(歩くと15分くらいかかっちゃう)も出たんですが、親孝行があまりにも過ぎるやろうっていう意見が出たんで、この案は却下になりました。




※ふんさんのその後

なんと、車を家に置いて、電車に乗って公○食堂にライブ見にきました。



(透けて見え〜る)