第354話 決め手にかける

父と車に乗っていた。
おもむろであった。
おもむろに父がこんなことを言い出した。
「洋介のエエとこを言っていくぞ」


古今東西息子のエエところ〜(おもむろに〜)



パンパン!明るい!

パンパン!弁当っ!(作ってる、だいたい毎日)

パンパン!・・・


パスすんなや!



(まだ三個目ぞ!)


ほら、続けろ、
はよ、続けろ、
もうちょい頑張ってみろ。


パンパン!・・・猫に優しい!



(猫・・・に?)



まだ三個目ぞ!


三個目にそれ出すん?
おれのエエとこ、三個目に『猫に優しい』が出てくるん?
それは最後のカードやろ、
最後の最後や、苦しまぎれのやつや、
しかも、一回パスしてるの忘れんなよ。
だいたいにして1つ目に『明るい』がきてるのも納得いってないねん、
なんやねん『明るい』が長所の1つ目にくる大人て、
ちびまるこちゃんで言うところの山田やん、
山田は小学生やからエエにして、
松井はあと2週間せずに30歳や、
『明るい』が長所の1つ目にくるような30歳はあかんやろ、
例えば自分が27、8歳の女やとして、
誰か紹介してもらうみたいなノリになったとしてや、
「どんな人なん?」って聞いてみてやで、
「う〜ん・・・明るい人・・かな?」

他は?

ってなるわ。
で?って。
他に褒めるとこは?って。

「う〜んと、毎日お弁当作ってるみたいよ」

ふ〜ん・・・。


(KIMETENIKAKERU)


決め手にかけまくるやん。
例えば女性のかたなんかが、弁当作ってたりするのは、いいな〜ってなるんですが、
料理とかするんや〜ってなるんですが、
30歳の男が毎日弁当作ってる場合、それは貧乏やからやん。
貧乏からくる風習やん。
明るくて貧乏。

短所やん。


(TANSYOYANAIKA)


貧乏人が何をヘラヘラしとんねん、ってならへん?大丈夫?
「あっ、あと!」
なに、なに??

「あと、猫に優しい。」



(KIMETENIKAKERUNEN)


決め手にかけまくるやん。