第374話 キチュウ外伝 其の二

大前提としてはっきりさせておくんですけども、
キチュウさんて、ほんまにエエ人なんです。





ほんで、すごい人気者ですし、









姿かたちこそ、ちょっと珍しいデザインしてますが、









大前提としてキチュウさんは人気者でエエ人なんです。
それを踏まえて今回のお話をはじめたいと思います。








「伝票?一緒でエエよ、一緒につけといて」


わたしは恥ずかしい。
いや、わたしが恥ずかしい。
後から来たキチュウさんの伝票をどうしますか?って話やったんです。
ひとりで飲んでいた、わたし。
そこにキチュウさんを呼んだんです。
わたしはもう、その時点で三杯くらい飲んでたんで、
キチュウさんとは伝票わけてもらおうと思たんです。
支払いがややこしくなるかな、と思いまして。
しかし、キチュウさん、オトコですね。
漢(おとこ)です。


「エエよ、そんなん。一緒にしといてや、洋介、そんなチマチマしたこと言うな、なっ、もっと気持ちよくいこうや」


そうなんです、キチュウさんはいつだって気前がよくて、
気持ちのいいお酒なんです。
割り勘とかも嫌いや、言うてましたし。
チマチマしたことが嫌いなんです。
今日なんかもおそらくキチュウさんがすこし多く払いはるんやと思います。
エエ先輩です。
店側からしても伝票一緒にした方が手間ないですし。
なにより、チマチマしてない。
キチュウさんてネットとかでは色々言われてますけど、
ザリガニと脳ミソのかたちが一緒やとか、
色々言われてますけど、
ボクなんかから言わせてもらえば、
なんか、全てをチャラにできる魅力あるんですよね。
チマチマしてないですし。
ボクはチマチマしてるやつが一番嫌いなん・・・

「洋介、そろそろいこか、すんませ〜ん、チェックで〜、え〜っと、俺はビールとラーメンと白ご飯で・・・700円っと。ほな、洋介、あとよろしく☆」




(あとはよろしく☆)


・・・むっちゃチマチマしてるやん。



それやったら伝票別々にしとけよ!
はじめっから伝票わけとこうや、
手間やわ!
店のひとにとっても手間やわ!
割り勘やったらまだしも、
まず、顔でかポッチャリ兄さんから700円いただいて、
その差額を松井からいただいて。
結局二回お会計しなあかんのやったら、
ちゃう伝票の方がわかりやすくて楽やねん。

キチュウ、おまえの知能指数は紅しょうがとほぼ一緒やと聞いている。
そやから、先ほどの貴様の発言と、いまのこの行動がものすご矛盾しているのがわからへんのやろう、
それはしょうがない、
なんせ、おまえの知能指数は紅しょうがとほぼ一緒やからな、
すなわちゼロや。
知能指数ゼロや。
植物以下や。
それやったらそれで、
紅しょうがやったら紅しょうがらしく、
豚骨ラーメンの上で、その真っ赤な一生を閉じたらどうや。
木屋町通りの路地裏で。
あとな、おまえな、やっぱりな、

のりまきせんべーに似てるな。




(んな、アホな)


ほんでな、今回のこの店な、
『日本酒とわたし』っていう裏難波の名店やってん、
各地の銘酒と、ハイクオリティなあてが、
ものすご良心的な値段でいただける名店な。
そこでな、キチュウ、オマエのオーダーや。

ビール、ラーメン、ライス。



王将いけ!