第381話 おれとオマエのサマータイムブルース

「ちょっと松井くん、オーバーオール汚すぎるわ、しかも、ちんこんとこが特に汚ないやん、あんた漏らしてるんちゃうやろなぁ」


わたしのオーバーオールが汚ねえってんで、ジョブ場がザワザワしだした。

「あんた、うんこもたまに漏らすって言うてたしなぁ、ひくわ〜〜」


わたしが、うんこもたまに漏らすってんで、ジョブ場がひいていく。
キムラさんSAY(キムラさんは言った)

「毎日酒飲んでんだ、うんこぐらい漏らすでしょう!俺だって、たまにはうんこぐらい漏らしますよ!」


キムラさんがかばってくれている。
キムラさんだけがかばってくれている。
なんていい奴なんだ。
そんな、いい奴に俺ってばよ・・・




〜〜〜〜〜〜〜〜





8月31日。
夏最後の日、ボクたちは近江舞子にいた。
近江舞子っていうのは、滋賀県は琵琶湖、湖西のビーチである。
今回で三年目、ボクたちは夏にありがとうを言いにいく。





何度も何度も夏がきて、
一万回の夏がきて、
みんなみんないなくなっても、
きっと琵琶湖はボクたちの事を覚えてくれているだろうね、
そして化石になったボクたちは博物館の中でこんな夢を見るんだ。



あっ、おじさん人魚姫だ!




(ぷかぷか気持ちいいんだよね)





(ぱぁ〜〜)




(娘「どうぞ、食べておくんなまし」姫(おじさん)「どうもありがとう」)





(村の若者「えい!気味の悪い!」)




(村の若者「化け物め!」)




(おじさん(姫)「なにすんだ!くそがき!」)




(おじさん(姫)「まてや!クソガキ!」)



人間に手をあげた幻獣はしばり首です。








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「うんこぐらい漏らしもしますよ!」






・・・うんこぐらい。

・・・ひっかかんだよな。
キムラくんさ、わたしのことかばってくれてんだけどもさ、
ちょっとひっかかんだよな。
『うんこぐらい』ってのにさ、ちょっとひっかかんだよな。
わたしさ、うんこ漏らしちった時にさ、『うんこぐらい』だなんて思った時ねぇんだよな。
うんこ漏らしちった時にはさ、いつもさ、


うわ〜〜!うんこ〜〜〜〜!うんこ漏らしちった〜〜〜〜!!あ〜〜!なんてこった〜〜!うわ〜〜!うんこが〜〜〜〜!うわ〜〜!うんこ〜〜〜〜!うわ〜〜〜〜!!


ってさ、このような心境なんすよな。
『うんこぐらい』だなんてよ、割りきれたことねぇんすよな。
キムラくんのさ、汚点だらけの人生においてはさ、
確かに『うんこぐらい』かもだよ。
いまさら、うんこのひとつやふたつ漏らそうがさ、
うんこだらけなわけだから?人生?
なっ、だからさ、ごめんな、
かばってくれてるわけだけれどもだ、

おれとオマエはちがう。




(みんな違ってみんないい)