第391話 乙女のそれとあれこれ

「明日は久しぶりにひさしさんに会うから髪の毛を切りにいくねん!」



(デーン)


明日木村くんはひさしさんに久しぶりに会うので髪の毛を切るらしい。
まぁ、あれだ、女子のそれだ。
髪の毛切ってオシャレして、憧れの男性に会いに行く。
溢(あふ)れんばかりの乙女心。
溢れかえった乙女心。


おっさんの乙女心が溢れてしまった。



ドン引きだ。
おっさんの乙女心は溢れないでほしい。
おっさんの乙女心は人目につかねえとこに置いといてくれねえだろうか。
通帳の入った引きだしとかに。
ちなみに、木村くんが会いに行くひさしさんというのは、
ビーチーズのヒサシ・the・kidさんだ。
ヒサシ・the・kidのライブを見に行くことを、
「ひさしさんに会いに行く」って言っちゃう感じがあれだ、
ちょっとこじらせちゃったタイプの乙女心だ。
ちょっとこじらせちゃったタイプのおっさんの乙女心は、なんだかくせえな。
『臭』って字をよく見ると、
木村くんが大きく手足を広げて通せんぼしている様にも見える。
木村くん、よい週末をお過ごしください。
加藤さんSAY(加藤さんは言った)



「おれに会うとき誰も髪切ってきいひんわ・・・」



(別にいいんだけどな・・・)


なんだよ、うるせぇな、
そりゃ、そうだろうよ、
いま、木村くんと喋ってんだからてめえは入ってくんじゃねぇよ、


「おれ、マッカーサーコンチのライブ会場で、誰見にきたんですか?って聞かれたことあるねん・・・」



(おれ、マッカーサーコンチなのによ・・・)


知らねえよ、うるせぇな、
突然悲しい話を始めんじゃねえよ、
てめえは声が小せえのに、なんだかうるせぇとはどういったことだ?
あと、「休憩室の皆さんで」ってもらったちんすこうを3つも4つも食うんじゃねぇよ、
しかも1つ持って帰ってただろ、皆知ってんだぞ、
皆さんの分のちんすこうが無くなっちまうだろうが!

このくそ虫が!



(おれはくそじゃねえ!)


もう1つ言っていいですか?
加藤さん、出荷にまわったファンデーションが見つかんねくてですね、
「これですよ〜」ってわたしが教えてですね、
「あ〜これか〜」つってですね、
上下に振りもって「あ〜これか〜」つってですね、
上下に振りもって耳を近づけて「あ〜これか〜」つってですね、

音で覚えんのやめてもらっていいですか?

化粧品を音で覚えんのやめてもらっていいですか?
不可能なんで。
名前と形で覚えてください。
化粧品は名前と形で、覚えてください。




(了解!)


なんか、顔もうるせえな。