第402話 人間だもの
たこの歌手SAY(たこの歌手は言った)
「春子さんって言うの、もうやめようぜ・・・」
ここは大阪、玉造。
ペヨーテ(というバー)には今夜も酒を求めた男と女が集う。
ザ・たこさんの歌手安藤さんと恋人の桜川春子さんだって例外じゃない。
寒い夜にホットなお二人のご来店だ。
「松井、こいつの事を『さん』付けで呼ぶの、もうやめようぜ・・・春子さんってやめようぜ・・・」
たこの歌手曰く、
●最近、桜川春子の老け方が残念である。
●女の人は『さん』付けされると老けちゃうんじゃねえのか。
●なぁ、『ちゃん』でいこうぜ。
「なっ、松井、オレも春子さんって呼んでいるからよ・・・オレもよくねえんだが・・・これからはよ、春ちゃんにしy・・・」
安藤さん、うんこってくせえだろ、そういうことなんだって。
うんこってさ、うんこって呼ばれてるからくせえんじゃねえんだ。
うんこだからくせえんだ。
うんこはうんこだからくせえんだ、
ババァはなんて呼ばれようがババァ、呼び方なんて関係ねえんだ、
なっ、うんこはくせえ、ババァはきたねえ、これはもうしょうがねえんだ。
おれの友達の鶴田が言ってたぜ、
「ブスとか美人とか、ゴリラから見たら一緒やから」って。
「ゴリラは人間見て、あの人間ブスやな〜とか思わへん」って。
「大きく広く、人間は人間」だって。
な、おれ達もよ、ゴリラ見分けつかねえだろ?
どのゴリラ見てもみんな一緒に見えんだろ?
そう考えたらさ、楽に・・・・
なんねえか!
鶴田はバカだからさ、自分の顔のことでちょっと悩んでる女の子にこの話してたんだけれども。
「だから気にすんな!」みたいなノリで。
「ゴリラはオマエのことブスやとおもてへんから!」って。
「だから気にスンナ!」って。
「でも私・・・ゴリラちゃうから!」
もう、腹痛いわ。
「でも私・・・ゴリラちゃうから!」って言われてて。
その通りすぎて。
「でも私・・・・ゴリラちゃうから!人間やから!」
その通り過ぎてつらいわ。
この街に賢いやつはいてないのか。
「おい!松井!」
「チェックで!」
そっちかい