第420話 嫌われるのにも理由(わけ)がある




説明が必要だろう。
説明が必要だ。
ただ、説明がなくとも、悲しい。
加藤さんの身に悲しみが降りかかったことは理解していただけたと思う。
今回加藤さんの身に降りかかった悲しみ。
わたしは誤解を恐れずに言葉にしてみようと思う。


加藤さんが本格的に嫌われはじめました。




(こっち、こっち〜)



みたに夫妻。
わたしが玉造で一番お世話になっているお二人だ。
みたにさんは週に一度わたしにお弁当を持たせてくれる。
加藤さんもその恩恵にあずかり、お弁当を作ってもらい始めたのはいつだったろう。



世間では色々言われてますが、
わたしは加藤さんのことが好きだ。
そして、みたにさんのことも好きだ。
やはり、好きなひとを好きなひとに紹介したい。
わたしが悪かったのだ。
加藤さんをみたにさんに紹介して、遊ぶようになった、ある日、
わたしは、加藤さんとみたにさんとカラオケに行った。





早かった。


忘れていた。
加藤さんのカラオケってすごいこと。


以下余談、
加藤さんがわたしの働くジョブ場にきての初めての飲み会が忘年会だったんですが。
二次会のカラオケの一曲目が加藤さんのメタリカでした。
社長もいんのに。


加藤さんはゆっくり静かに嫌われていった。
ゆっくり静かに、だが、確実に。








加藤さんはメールをするらしい。
みたにさんにメールをするらしい。
しかも突然。


「また、飲みに連れて行ってください」などと。


何かメールをしていて、
最後に「また、飲みに行きましょう」とかならわかるんですが、
いきなり、加藤さんから、突然そんなメールきたら怖いですよ、普通に。
しかも、「飲みに行きましょう」ならまだしも、


「また、飲みに連れて行ってください」



しかもね、加藤さんって、みたにの旦那の1個上なんですよ、
なんで歳上におごらなあかんねん、ってなりませんかね!





そして、事件は起こった。
加藤さんが初めてみたにさんの家にお邪魔した時の話だ。
パーティーは夜更けまで続いた。
夜中の2時前だったように思う。

平日だし、明日も仕事だし、そろそろ帰りましょうか、加藤さん、
みたにさん、遅くまですみませんでした、
ほな、帰ります、ごちそうさまでした!
・・・加藤さん?


加藤さんが、なんか帰んないって言いだしやがって。


加藤さん、なんと帰らへんかってん。
完全に帰るタイミングやん。
松井が帰るって言うとんねん、
おまえみたいなもん、松井のオマケやん、
オマケっていうか、オデキやん、
松井にできたオデキみたいなもんやん、みたにさんにとっては、
それを、何をオデキだけ残ろうとすんねん、
「ちょっと、持って帰ってよ〜」ですよ、
ボク、何度も「帰りましょ」って言うてんのに、
なんと加藤だけ残りよったんです。
しかも、玄関まで見送ってもらったわ・・・なんでやねん。
そして、なんと、朝まで自分の生い立ちの話をしたらしいです。
聞かれてからにせえ、
自分の生い立ち、身の上話は。



ホンマにお邪魔してどないすんねん。


嫌われるのにも理由(わけ)がある。
嫌われるべくして嫌われてるわけです。
さっき言い忘れたんですが、やっぱり加藤さん、みたにさんにも、
『ある特定の宗教』の話や、『ある特定の政党』の話、おもくそしたみたいです。







聞いたんです、わたし。
みたにさんに聞いたんです。


「嫌いなやつに弁当こさえんのつれくねえですか?」つって。


みたにさんはこう言ってました。


「いいのよ、1個増えても手間変わんないし、趣味みたいなもんだからっ」つって。


そんなスタンスのみたにさんが加藤さんの分の弁当を作るのをやめた。
何をしやがったのかって話になりますよね、
弁当作ってくれる前日にみたにさんメールをくれるんです。
「明日弁当ですよ〜」つって。
なのに、加藤の野郎・・・


加藤の野郎、弁当の日バイト休みやがって。2週連続。







嫌われるのにも理由(わけ)がある。