第433話 加藤塾へようこそ〜ずっこけ三人組ツアー秘話〜其の2

「仙台って連れて行ってもらえるのですか?」




浅い・・・どこまでも浅い海がある。
潮干狩りに出かけた。
しかし、掘れども掘れども出てくるのは泥ばかり。
加藤さん、あんたのことだ。
加藤さん、おれたち、すげくガッカリしている。


7月22日から始まったツアー。
バンドワゴンは長野、東京と順調に走り三日目、福島県に到着した。
そして夜行バスで大阪から来た加藤さんも無事に合流することができた。
そして、昼ごはんに入ったとある喫茶店で加藤塾は開かれた。

実は加藤さんの福島以降の動向については移動の車の中や打ち上げの場などでわたしたち(松井、大野くん、清水くん、安田さん)の間で何度も話をしてきた。
そして、話し合いの結果、前日までに(つまり、東京のライブが終わるまで)加藤さんからなんらかの意思表示があれば、加藤さんの意思を最大限尊重しましょう、
ということに相成った。
そもそも福島1本で帰るつもりかもしれないわけであるからして。
そもそも、福島行きについても急すぎる展開を怒られているのであるからして、
(前回の記事参照)
あえて、そんな同じ無理を重ねないであろう。


しかし、加藤は繰り返す。



(それが、加藤)


東京のライブが終わっても加藤さんからの連絡はなかった。
そして、場面は福島県のとある、喫茶店である。



「仙台って連れて行ってもらえるのですか?」



(乗ります?)



なんで、そう思ったんですか?



なんで連れて行ってもらえると思ったのか、それが不思議です。
加藤さん、この車の燃料なにか知ってます?
この車はね、清水くん、大野くん、松井がライブして手に入れたお金でガソリンを買って高速道路乗って、
安田さんが運転頑張ってくれて、
やっと走ってるんです。
いや、別にこんな事を言いたいわけではなく、
加藤さんが前日までにちゃんと言うてくれたら、
乗ってもらうつもりやったんです。
なんで、また、そんなに急すぎる話をするんですか?
そうゆうのを散々怒られてきてるのに。
この福島にしてもそうじゃないですか、
バイト休むのもそうですし。
そんなん全部うやむやにして乗る気やったんでしょ?
なんで、そんな楽をしようとするんですか?
わかりました、加藤さん、
加藤さんはそのままでいてください、
ずっとキリギリスのままでいたらエエねん、
バイオリンでも買って楽しく暮らしてください!


「・・・バイオリンって一番安いのでいくらぐらいなんですか?」




(松井清水大野にのっかろうとする加藤)




・・・むっちゃアホやん。


比喩表現やん・・・
アリとキリギリスっていう話あるやん、
それをあんたに見立てて説教しとんねん、
バイオリンを買えってマジで言うわけないやん、
何を本気でバイオリンを買って楽しく暮らそうとしとんねん、
信じられへんわ!



(乗ります?)


店を出た。
加藤さん、色々間違えちゃいましたけどボクらみんな加藤さんに意地悪したくて言うてるんじゃないんですよ。
加藤さんにちゃんとした人になってほしいんです。
・・・ね?加藤さん?
そんな暗い顔しないでくださいよ。
とりあえず、ライブは楽しみましょうよ、
ねっ、元気を出しt・・・・


「…何人乗りなんですか?車」



いや、だからそうゆうことを言ってんじゃねえんだって